「不要な不動産を手放す4つの方法を徹底解説|売却・贈与・国庫帰属法・有償処分まで」

使わない不動産を抱えていると、固定資産税や管理費、草木の手入れ、境界管理などのコストや手間が発生します。特に相続で取得した土地や建物は、自分では使わない場合でも放置すると維持管理が大きな負担になります。本記事では、「不要な不動産を手放す4つの方法」をもとに、売却・相続土地国庫帰属法・贈与・有償処分の流れや注意点、さらに相続前の選択肢について詳しく解説します。

不要な不動産を手放す前に知っておきたいこと

不要な不動産を手放す前に押さえておきたいポイントは、まずその不動産がどのような状態にあるのかを整理することです。土地や建物の状態、アクセスの良さ、周辺環境、固定資産税の額などを確認することで、どの手段が現実的かを判断できます。

無料相談の活用

まず「無料相談」を利用して不動産の状況を整理することをおすすめしています。無料相談は、単にアイデアをもらうだけの場ではなく、専門家と依頼者双方が情報を共有し、今後の手続きや処分方法を判断するためのステップです。相談では、以下のようなことを確認します。
・不動産の種類と状態(宅地、山林、空き家など)
・売却の可能性があるかどうか
・国庫帰属法や贈与の適用可能性
・有償処分を検討する場合の費用感

無料相談では、必要に応じて書類の準備や、今後の流れの具体的なアドバイスも受けられます。初めての方でも安心して相談できるよう、全国どこからでも対応可能です。

行政の無料相談の活用

また、「お金をかけずにアイデアだけ欲しい」という場合は、自治体や業界団体が提供する無料相談窓口を活用できます。ただし、こうした場では個別の具体的な問題解決までは対応できないことが多いため、実際の手続きや契約には専門家のサポートが必要です。

不要な不動産を手放す4つの方法

ここからは、具体的に不要な不動産を手放す方法を4つ解説します。それぞれメリット・デメリットや費用、手間を理解したうえで選択することが重要です。

1. 不動産の売却

最もわかりやすく、一般的な方法は不動産の売却です。売却は「媒介契約」と「売買契約」の2段階で行います。
媒介契約(販売委託契約):不動産会社に販売を依頼する契約。依頼者と不動産会社の間で結び、販売活動の範囲や報酬について定めます。
・売買契約:買主が見つかると結ぶ契約。依頼者と買主の間で不動産を売買する契約です。

媒介契約と売買契約は混同されやすいですが、媒介契約は「販売依頼」、売買契約は「実際の取引」という違いがあります。都市部のマンションや一戸建て、地方の空き家など、売却可能な不動産であれば、まずこの方法を検討するのが現実的です。


売却のメリットは、現金化できる点です。一方、デメリットは、市場の状況によっては希望価格で売れない場合があること、売却までに時間がかかることです。特に過疎地の土地や築年数の古い建物は買い手がつきにくく、売却が難しいケースもあります。

2.相続土地国庫帰属法を活用する

売却が難しい場合は「相続土地国庫帰属法」を利用して、国に土地を引き取ってもらう方法があります。この制度は、相続で取得したものの、自分でも使わず売却も難しい土地を国に帰属させるもので、手続きにはいくつか条件があります。
・建物が建っていないこと
・樹木が生い茂っていないこと
・境界が明確であること
・崖や地中埋設物がないこと

こうした条件を満たす土地は、限界集落などの過疎化地域で見られます。平らで整備された土地でも人口が少ないため値段がつきにくく、国庫帰属法の対象になりやすいです。

申請は簡単ではなく、書類作成や現地調査、申請費用(宅地の場合20万円前後)が必要です。一般の方には難しいため、行政書士や司法書士に代行してもらうのが現実的です。

メリットは、不要な土地を物理的に処分できる点です。デメリットは、費用がかかること、手続きが複雑で承認まで時間がかかることです。

3. 贈与による譲渡

売却も国庫帰属法も適用できない場合、第三者に無償で譲る「贈与」という方法があります。受贈者が見つかれば贈与契約を結び、財産を無償で譲ることが可能です。親族や地域の団体、知人などに譲るケースが一般的です。

贈与契約では、売買のように代金が発生しませんが、登記や契約書の作成は必要です。受贈者が見つからない場合は、この方法は適用できません。

メリットは、コストを抑えて不動産を手放せる点です。デメリットは、受贈者を見つける手間があること、登記手続きや税務手続きが必要になることです。

4.有償での引き取り処分

最後の手段として、「有償での引き取り処分」があります。これは、売却も贈与も国庫帰属法も適用できない土地や建物に対して、所有者が費用を払って第三者に引き取ってもらう方法です。

インターネットでも「有償で引き取ります」といった業者情報は多く、自分で手配することも可能です。費用は土地や建物の状態によって異なりますが、処分の最終手段として選ばれるケースが多いです。

メリットは、どのような不動産でも処分できる点です。デメリットは、費用がかかること、引き取り業者の選定や交渉が必要なことです。

相続前の選択肢:相続放棄と限定承認

相続前であれば、不要な不動産を手放すために「相続放棄」という方法もあります。相続放棄は、相続人が全財産に対して権利を放棄する手続きで、一部の不動産だけを放棄することはできません。

また、「限定承認」という手続きを使うと、特定の負債のみを引き受ける形で相続できる場合もあります。ただし手続きは複雑で、家庭裁判所での申請や専門家の助言が必要です。

不要な不動産処分の注意点

さらに、不要な不動産を手放す際には、維持管理や処分にかかる時間も考慮することが重要です。特に地方の空き地や老朽化した建物は、売却に時間がかかったり、贈与先や引き取り業者を探すのにも労力がかかります。場合によっては、処分する費用や手間が想定より大きくなることもありますので、早めに専門家に相談し、計画的に進めることが成功のポイントです。また、相続前に不要な不動産がある場合は、相続放棄や限定承認などの制度も検討し、全体の財産状況を踏まえて最適な方法を選ぶことが大切です。

地域の状況を確認することの重要性

また、不要な不動産の処分を進める際には、地域の不動産市況や周辺環境も確認しておくと安心です。例えば地方の土地では、近隣の開発計画やインフラ状況によって売却価格や引き取り条件が変わることがあります。加えて、草木の管理や建物の老朽化対策を怠ると、後からトラブルや追加費用が発生する場合もあるため注意が必要です。こうした状況を踏まえて、早めに専門家に相談し、費用・手間・時間を含めた総合的な判断を行うことが、不要な不動産をスムーズに手放すための最も確実な方法です。

まとめ:不要な不動産を手放すためのポイント

不要な不動産は維持管理のコストがかかります。固定資産税だけでなく、草木の手入れ、境界や崖の管理、不法投棄の確認なども必要です。こうした負担を避けるために、早めに手放す方法を検討することが重要です。

不要な不動産を手放す方法は大きく4つあります。
1.売却(媒介契約→売買契約)
2.相続土地国庫帰属法による国への引き取り
3.贈与契約による譲渡
4.有償での引き取り処分

さらに相続前であれば相続放棄という選択肢もありますが、特定の不動産だけを放棄することはできません。不要な不動産の処理に悩む場合は、専門家に相談することでスムーズに進められます。

この記事を書いた人

代表取締役士杉山善昭
代表取締役士杉山善昭
宅地建物取引士、建築士、公認不動産コンサルティングマスターなどの有資格者。
「相続した実家、売る?貸す?使う?」
「杉山善昭の不動産ワクチンがいまなぜ必要か?」著者
(公社)神奈川県宅地建物取引業協会理事兼中央無料相談所相談員。
1990年から不動産業界に従事、2005年(有)ライフステージ代表取締役就任。