不動産投資勧誘の手口とは?よくある営業パターンと騙されないための対策

近年、資産形成や老後不安を背景に、不動産投資に興味を持つ人が増えています。しかしその一方で、「不動産投資を始めたが失敗した」「営業に勧められて購入して後悔している」という相談も少なくありません。
実は、不動産投資には典型的な勧誘のパターンが存在します。本記事では、不動産投資の勧誘手口やセミナーの流れ、そして騙されないために知っておくべきポイントを詳しく解説します。

不動産投資の勧誘トラブルはなぜ多いのか

不動産投資は、株式投資などと比べて金額が大きく、ローンを利用するケースがほとんどです。

そのため、
・物件価格が適正かどうか分からない
・不動産の知識がない
・投資初心者が多い
といった理由から、営業トークに流されてしまうケースが多く見られます。

実際に不動産トラブルの相談では、
・営業の説明を信じて購入した
・将来の資産になると言われた
・空室リスクがないと言われた
などの理由で契約してしまった例が少なくありません。

しかし、勧誘には典型的なパターンが存在します。
まずは代表的な営業手法から見ていきましょう。

不動産投資の典型的な勧誘手口

テレアポ(電話営業)

もっとも古典的な方法が電話営業です。

会社や個人に電話をかけ、次のような話から会話を始めます。
・資産形成に興味ありませんか
・将来の年金が不安ではありませんか
・老後資金の対策をしていますか

こうした会話は、いきなり物件を売るためのものではありません。

実際の目的は次の通りです。
「この人が見込み客かどうかを判断すること」

つまり電話は、営業の第一ステップに過ぎません。

興味を示した人には
・個別面談
・投資セミナー
・営業担当との面会
などへ誘導されていきます。

電話営業では、将来不安を煽る話題がよく使われます。
例えば
・年金制度の崩壊
・老後2000万円問題
・収入の将来不安
などです。

こうした不安を刺激することで、冷静な判断力を弱める狙いがあります。

飛び込み営業

意外に多いのが飛び込み営業です。

特にターゲットになりやすいのは
ワンルームマンションの住人
です。

理由はシンプルです。
独身者である可能性が高いからです。

既婚者の場合
・配偶者の反対
・家族の相談
などがあるため、契約まで進みにくい傾向があります。

しかし独身の場合は
・判断が本人のみ
・相談相手が少ない
ため、営業側にとって説得しやすいのです。

実際に飛び込み営業を断りきれず、そのまま契約してしまったというケースも少なくありません。

マッチングアプリ営業

最近増えているのが
マッチングアプリを利用した営業
です。

一見すると普通の出会いですが、実際には次のような流れになるケースがあります。
1.マッチングアプリで知り合う
2.数回デートする
3.「知り合いを紹介したい」と言われる
4.不動産投資の営業担当が登場

この場合、アプリの相手は営業担当ではなく
紹介役
であることが多いです。

副業営業やフリー営業として活動している人も存在し、企業側が営業人材を募集しているケースもあります。

一見すると自然な出会いに見えるため、警戒心が下がりやすいのが特徴です。

知人からの紹介

もう一つ多いのが紹介営業です。

典型的なパターンは次のようなものです。
・久しぶりに知人から連絡が来る
・食事に誘われる
・その場に「先輩」や「知人」が同席
・投資話が始まる

これはネットワークビジネスと似た構造です。
紹介役
説明役
成功者役

といった役割が分かれていることもあります。

最終的に誘導される場所「不動産投資セミナー」

テレアポ
飛び込み営業
マッチングアプリ
紹介営業
これらの多くが、最終的に誘導する場所があります。

それが
不動産投資セミナー
です。

インターネット広告でもよく見かける
・無料投資セミナー
・初心者向け不動産投資講座
などがこれに該当します。

ここでは典型的な論理展開が使われます。

不動産投資セミナーの典型的な流れ

将来不安を徹底的に煽る

セミナーの最初に行われるのは
将来不安の提示
です。

例えば
・年金は将来もらえるのか
・会社の給料はいつまで続くのか
・老後資金は足りるのか
などの話題です。

さらに
・役職定年
・老後2000万円問題
などを取り上げ、
「このままだと将来は危険」
という印象を強く植え付けます。

不動産投資が解決策だと提示する

不安を与えた後に提示されるのが
不動産投資
です。

よくある説明は次のようなものです。
・家賃収入で老後も安心
・働かなくても収入が入る
・大家になることで自由な生活

つまり
不動産投資=経済的自由
というイメージを作ります。

インフレ・デフレどちらにも強いという説明

セミナーでは次のような説明もよくされます。
「不動産はインフレに強い」

理由としてよく出されるのが
・物価上昇
・円安
・通貨価値の下落
などです。

さらに
「デフレでも家賃はあまり下がらない」
という説明が加えられます。

しかし実際には
・家賃は急激に上がることも少ない
・需要次第で下がる
ため、必ずしも安定しているとは限りません。

団体信用生命保険のメリット

ローンを組む場合、団体信用生命保険が付くことがあります。

セミナーでは次のように説明されます。
・もしもの場合はローンがなくなる
・家族に不動産が残る
・生命保険の代わりになる

確かに仕組みとしては存在しますが、
投資と保険は本来別のもの
です。

この2つを一緒に説明することで、魅力的に見せるケースがあります。

成功者の登場

セミナーでは
成功した投資家
が登場することもあります。

よくあるストーリーは次のようなものです。
・昔は貧乏だった
・ブラック企業で働いていた
・不動産投資に出会った
・数年で複数物件を所有
・今は不労所得で生活

こうした成功例を見せることで
「自分にもできるかもしれない」
という心理を作ります。

家賃保証という安心材料

最後に出てくるのが
家賃保証
です。

説明は次の通りです。
・空室でも家賃が入る
・リスクがない
・安定収入になる

しかし実際には
・保証条件が厳しい
・家賃減額がある
など、契約内容に注意が必要です。

覚えておきたい大原則

不動産投資の勧誘で最も重要なポイントがあります。

それは
本当に儲かる話は他人に教えない
ということです。

もし本当に利益が出る物件なら
営業担当者が自分で購入するはず
です。

「社内規定で買えない」
と言われることもありますが、実際にはそのような規定がないケースも多くあります。

危険な不動産会社の特徴

不動産投資の勧誘には共通する特徴があります。

物件を見せない

遠方の物件を紹介し
・現地確認ができない
・市場価格が分からない
状態で契約を進めるケースがあります。

必ず
自分で現地確認
を行うことが重要です。

顔出ししていない会社

営業担当者が
・顔出ししない
・名刺の情報が不明確
といった場合は注意が必要です。

少なくとも
宅地建物取引士証
は確認しておきましょう。

不動産投資で失敗した場合の対処法

すでに購入してしまった場合でも、対策はあります。

早期売却を検討する

投資では
損切り
が重要です。

利益が出ないと判断した場合、早めの売却が被害を小さくすることがあります。

契約内容を確認する

確認すべき書類は以下です。
・売買契約書
・重要事項説明書
・資金計画書
・ローン契約書

これらを確認すると、
・相場より高額
・不自然な融資条件
などが見つかることもあります。

場合によっては
損害賠償請求
が検討できるケースもあります。

まとめ

不動産投資の勧誘には、驚くほど共通したパターンがあります。電話営業や飛び込み営業、マッチングアプリや知人紹介など、入り口はさまざまですが、最終的にはセミナーや営業面談へ誘導されるケースが多いのが特徴です。そこでは将来不安を煽り、不動産投資が唯一の解決策であるかのような説明が行われます。しかし、投資には必ずリスクが存在します。本当に利益が出る話であれば、わざわざ他人に勧める必要はありません。大切なのは、安易に契約せず、物件や契約内容を自分で確認することです。冷静な判断を持つことが、不動産投資トラブルを防ぐ最大の対策と言えるでしょう。

この記事を書いた人

代表取締役士杉山善昭
代表取締役士杉山善昭
宅地建物取引士、建築士、公認不動産コンサルティングマスターなどの有資格者。
「相続した実家、売る?貸す?使う?」
「杉山善昭の不動産ワクチンがいまなぜ必要か?」著者
(公社)神奈川県宅地建物取引業協会理事兼中央無料相談所相談員。
1990年から不動産業界に従事、2005年(有)ライフステージ代表取締役就任。