ややこしい不動産の交渉力がスゴイと言われますが

こんにちは杉山善昭です。

不動産の仕事をしていると、当然の事ながらいろいろな人にお会いします。
私自身、宅建協会の相談員もしておりますので、多種多様な相談が寄せられます。
杉山善昭
日常業務でも相談者からの相談においても同様なのですが、多視点で物事を取らえ思考し、判断することが一番重要です。

依頼者や相談者の多くは、自分だけの視点で思考、言動をすることが多いです。
確かに、不慣れな不動産の事について沈着冷静に思考、行動をする事は困難です。

依頼者や相談者が悪いと言っているのではありません。

不動産のトラブルを解決することや、今起きている問題を解決する為には、自分だけの独りよがりな思考行動では不十分です。

例えば借地権の場合、地主と借地権者がいます。
地主は地主なりの理屈で物事を捉え行動しています。
借地権者は借地権者なりの理屈で物事を捉え行動します。

自分だけの独りよがりな要求をしてしまうことは、珍しくありません。
自分が困る。だから相手に要求する。という図式があるからです。

私が地主さん側から相談を受けた際、地主さんには「もし立場が変わって地主さんが借地権者だとしたらその要求をのみますか?」と質問します。

借地権者さんから相談を受けた場合は、逆の事を申し上げます。

感の良い方は、そこで理解していただくのですが、中にはそれでもご自身の正当性をアピールされる方も多くいらっしゃいます。

積年の思いがありますので、お話しを聞いていると相談者のお気持ちが理解できるものも多々あります。

お互いの主張が平行線で出口なし。という状態に陥った時。
そんな時私は、このまま時間が過ぎた際、最悪な状態とは何か?という点について説明をしています。

相続で揉めて8年裁判をやった事例も知っています。
30年前の恨みが今、表に出て、近隣トラブルになった事例も知っています。

納得いかないものを無理に納得する必要はありません。
しかし、このまま時間が過ぎた際、最悪な状態とは何か?を考えていただくことは非常に有効です。

私の元に依頼が寄せられる案件の多くは、かなりややこしいお話しが多いですが、基本的に皆、最高のケース、最悪のケースその中間のケース、全部説明しています。

下手な駆け引きをするよりもよほど速く問題が解決します。

依頼者からは「杉山先生の交渉力。スゴイですね」とよく言っていただきます。
私としては交渉しているつもりはなく、誰もが正しい判断ができるように、正確な情報を伝えているだけです。

ウソ、偽りなく、ありのまま。
一般的に交渉は相手を打ち負かす事だと思われている節がありますが、実は違います。

相手側の信頼をいかに得ることができるか?がもっとも重要なポイントです。

例えば、夫が退去して元奥様とお子さんが住んでいるマンション。
住宅ローンの支払いができなくなった夫から売却の依頼を受けたとします。

一筋縄でまとまる話でないことは、誰もが分かると思います。
離婚した奥様との交渉は避けて通れません。

しかし、私は離婚した夫が依頼した不動産会社。
元奥様にしてみれば、敵方の人間に映って当然です。

そんな状態で理屈だけの話をしても、話が付く訳ありません。
ではどうすれば良いのか?

多角的視点に立ち、元奥様の状態も充分理解した上で皆にとってメリットのある提案ができるかどうかがポイントになります。

この記事を書いた人

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士、建築士、公認不動産コンサルティングマスターなどの有資格者。「杉山善昭の不動産ワクチンがいまなぜ必要か?」著者
(公社)神奈川県宅地建物取引業協会中央無料相談所相談員。
1990年から不動産業界に従事、2005年(有)ライフステージ代表取締役就任。