古家付き土地と更地、どちらで売るのが得?後悔しないための判断基準を宅建士が徹底解説

相続や住み替えをきっかけに、築40年・50年といった古い家付きの土地を売却する場面は少なくありません。その際に多くの方が悩むのが、「建物を壊して更地にした方がいいのか」「古家付きのまま売った方がいいのか」という問題です。インターネット上にはさまざまな意見がありますが、実はこの問いに唯一の正解はありません。本記事では、宅建士の実務視点から、それぞれのメリット・デメリット、判断の考え方、後悔しない売却戦略について詳しく解説します。

古家付き土地と更地、よくある誤解

相続した実家や長年使っていなかった家を売ろうとしたとき、多くの方がまずインターネットで情報収集をされます。その結果、次のような考えに行き着くケースが非常に多く見られます。
・「古い家があると売れないから、壊さなきゃダメですよね?」
・「築年数が古い家は価値がないから、更地にするのが当然ですよね?」
しかし、結論から言えばこの考え方は半分正解で、半分は誤解です。不動産売却において、1+1が必ず2になるような単純な世界は存在しません。土地の立地、エリアの特性、買主のニーズ、市場の状況、そして売主自身の事情によって、最適な答えは大きく変わります。

つまり、「必ず壊さなければならない」「必ず更地にした方が得」という絶対的な正解は存在しないのです。

古家付きのまま売る場合のメリット

まずは、古家付き土地として売却する場合のメリットについて整理していきましょう。

解体費用がかからない

最大のメリットは、解体費用を負担せずに済む可能性が高い点です。建物を壊すとなると、木造住宅でも150万円〜300万円程度、場合によってはそれ以上の費用がかかります。古家付きで売却できれば、この大きな出費を回避できます。

また、契約の仕方によっては、
・売買契約締結後
・引き渡しまでに売主が解体し、更地で引き渡す
という形を取ることも可能です。この場合、「売れることが確定してから解体する」ため、無駄なリスクを負わずに済みます。

買主が自由に計画を立てられる

古家付きの状態であれば、買主は自分のペースで建物をどうするかを決められます。
・建物は壊すが、塀は残す
・高低差がある土地で擁壁を残すかどうか検討する
・解体時に土を掘り下げて駐車場を設ける
このように、土地の使い方を柔軟に検討できる点は、買主にとって大きな魅力です。

リフォーム・DIY需要を取り込める

近年は、新築にこだわらず、
・中古住宅をリフォームして住みたい
・DIYを楽しみながら住みたい
という層も増えています。こうした方にとっては、建物が残っていること自体がプラス要素になります。もし更地にしてしまうと、こうした買主層は最初から検討対象から外れてしまいます。

古家付き土地のデメリット

一方で、古家付きで売る場合には、当然ながらデメリットも存在します。

見た目の印象が悪くなりやすい

人はどうしても、新しくて綺麗なものに好印象を抱きやすいものです。古く、汚れが目立つ建物が建っていると、
・「ちょっと残念だな」
・「なんとなく不安だな」
というマイナスの第一印象を与えがちです。

建物の状態が不安要素になる

古い建物の場合、
・外壁の汚れ
・屋根の傷み
・窓や建具の劣化
など、目に見える部分の劣化が目立ちます。すると買主は、
「見えない壁の中や天井裏は、もっとひどいのでは?」
と、実際以上にネガティブな想像を膨らませてしまうことがあります。これが購入意欲を下げる原因になることも少なくありません。

更地で売る場合のメリット

次に、更地にしてから売却する場合のメリットを見ていきましょう。

見た目が良く、土地の形が分かりやすい

更地の最大の強みは、視覚的な分かりやすさです。
・土地が広く見える
・境界や形状が一目で分かる
・建物配置のイメージがしやすい
購入検討者は、「ここに家を建てたら」「ここが庭で、ここが駐車場で」といった具体的な生活イメージを描きやすくなります。

取引がスムーズに進みやすい

すでに建物が解体されているため、
・契約後すぐに引き渡しが可能
・解体工事のスケジュール調整が不要
といった点から、取引全体がスムーズに進みやすい傾向があります。これは買主にとっても大きな安心材料です。

更地にするデメリットと注意点

更地にすることで売却がスムーズになる反面、見落としがちなリスクや注意点も存在します。特に費用面については、事前にしっかり理解しておくことが重要です。

解体費用が高額になる可能性がある

一般的な木造住宅であっても、解体費用はおおよそ150万円〜300万円程度かかるケースが多く、建物の規模や構造によってはさらに高額になることもあります。鉄骨造やRC造、大きな建物の場合は300万円を超えることも珍しくありません。

また、解体工事は「壊して終わり」ではなく、廃材の分別や処分費用、近隣対策なども含まれるため、想定よりも費用が膨らむ可能性があります。

アスベストが使用されている場合は追加費用が発生する

築年数が古い建物の場合、特に注意したいのがアスベスト(石綿)の存在です。
昭和40年代〜平成初期に建てられた建物では、外壁材、屋根材、内装材などにアスベストが使用されているケースがあります。

アスベストが含まれている場合、通常の解体工事とは異なり、
・事前調査の実施
・飛散防止措置
・専門業者による除去作業
・特別管理産業廃棄物としての処分
といった工程が必要となり、数十万円〜場合によっては100万円以上の追加費用が発生することもあります。

見た目では判断できないことも多く、解体を始めてから判明するケースもあるため、築年数が古い建物では「想定外のコスト」が発生するリスクがある点は十分に注意が必要です。

解体費用は必ずしも売却価格に反映できない

更地にするために多額の費用をかけたとしても、その費用をそのまま売却価格に上乗せできるとは限りません。土地の価格はあくまで相場が上限となるため、解体費用をかけた分だけ高く売れるとは限らないのが現実です。

そのため、更地にするかどうかは「売れやすさ」だけでなく、費用対効果やリスクも含めて慎重に判断する必要があります。

判断基準は「買主目線」

古家付きか更地かを判断するうえで最も重要なのは、売主目線ではなく、買主目線で考えることです。

新築志向の買主が多いエリア

・新築を前提に土地を探している
・建物は不要
こうしたエリアでは、古い建物はマイナス要素になりやすく、更地の方が好まれる傾向があります。

中古・リフォーム需要が多いエリア

一方で
・郊外エリア
・価格重視の買主が多い地域
では、「今ある建物を活かしたい」というニーズが強く、古家付きの方が売れやすいケースも多く見られます。

都市部と郊外での傾向の違い

実務上の感覚として、次のような傾向があります。

都市部の特徴

・更地が少ない
・予算に余裕のある買主が多い
・「壊して建てる」前提で探している人が多い
そのため、古家付きでも問題なく売れるケースが多く見られます。

郊外の特徴

・新築に建て替えるほどの予算がない
・中古住宅を活用したい層が多い
この場合、建物が残っている方が購入検討に入りやすい傾向があります。

実務上おすすめの販売戦略

基本的な考え方としておすすめなのは、
「まずは壊さずに売り出す」
という戦略です。

壊すのはいつでもできるが、元には戻せない

建物は一度壊してしまうと、二度と元に戻せません。だからこそ、
1.古家付きのまま売り出す
2.反響(問い合わせ)を見る
3.反応が悪ければ解体を検討
という段階的な判断が、リスクを抑えた現実的な方法です。

売主の事情も重要な判断材料

理論上は「更地がベスト」と分かっていても、
・解体費用を先に出せない
・相続人が多く、費用負担の合意が難しい
といった事情がある場合も少なくありません。その場合は、理想論ではなく現実的な選択をすることが重要です。

専門家に相談する価値

不動産売却には
・市場分析
・価格設定
・販売戦略
といった専門的な判断が欠かせません。「絶対にこれをしなければならない」というルールはほとんどなく、状況に応じた最適解を一緒に探していくことが重要です。

まとめ

古家付き土地と更地、どちらで売るべきかに唯一の正解はありません。立地や市場環境、買主ニーズ、そして売主自身の事情によって最適な選択は変わります。重要なのは、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、買主目線と現実的な条件を踏まえた判断をすることです。迷った場合は、まず壊さずに売り出し、市場の反応を見ながら柔軟に戦略を調整するのが賢明です。専門家のアドバイスを活用し、後悔のない売却を目指しましょう。

この記事を書いた人

宅地建物取引士茂木
宅地建物取引士茂木
神奈川県生まれ
平成18年に不動産業界に入り、平成21年に宅建試験合格現在に至ります。
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