不動産は誰に売るかで決まる|販売開始から成約までのスピードと価格のリアルな関係

不動産を売却する際、多くの方が気になるのが「どれくらいの期間で売れるのか」という点ではないでしょうか。実は、販売開始から成約までのスピードは、物件そのものよりも「誰に向けて売るか」によって大きく変わります。本記事では、一般消費者・不動産投資家・不動産買取業者という3つの買主タイプに分けて、売れるまでの期間や価格の違いを詳しく解説します。

不動産が売れるまでの期間は「買主」で決まる

不動産の売却期間について、「立地が良ければ早く売れる」「価格を下げればすぐ決まる」と思われがちですが、実務の現場ではそれ以上に重要な要素があります。
それがどの層の買主に向けて販売するかという点です。


不動産を購入する人は、大きく分けて次の3種類しか存在しません。

不動産を買う人は大きく3タイプ

一般消費者(自己使用目的)
自分や家族が住むために不動産を購入する人です。いわゆるマイホーム購入層で、個人はもちろん、事業用として自社利用を目的とした法人もこの分類に入ります。

不動産投資家(賃貸運用目的)
自分では住まず、第三者に貸して家賃収入を得るために購入する人たちです。個人投資家から法人投資家まで幅広く存在します。

不動産買取業者(転売目的)
不動産会社の中でも、物件を買い取ってリフォームや再販売を行うことを専門とする業者です。短期間で売買を繰り返すプロフェッショナル集団と言えます。

販売スピードが最も遅いのはどの買主か?

では、この3者の中で「売れるまでに時間がかかる順番」を見ていきましょう。

H3:売却スピードのランキング

結論から言うと、一般的な傾向は次の通りです。
 1.最も遅い:一般消費者
 2.中間:不動産投資家
 3.最も早い:不動産買取業者
これは断定ではなく、あくまで多くの取引を見てきた中での「傾向」です。ただし、なぜこのような差が生まれるのかを理解しておくことは非常に重要です。

なぜ一般消費者は意思決定に時間がかかるのか

人生で何度も経験しない大きな買い物

一般消費者にとって、不動産購入は人生でそう何度もあるものではありません。
多くの場合、住宅ローンを35年といった長期間組むことになり、「失敗できない買い物」になります。

そのため、
 ・本当にこの物件で良いのか
 ・価格は高くないか
 ・周辺環境や近隣住民は問題ないか
といった点を慎重に検討します。

同じ物件を何度も見に行く理由

一般消費者の場合、1回の内見で即決するケースは少なく、2回、3回と時間をかけて確認することが多くなります。
結果として、売主側から見ると「検討期間が長い」「結論が出るまで時間がかかる」という印象になります。

不動産投資家はなぜ早く決断できるのか

不動産投資家も、最初の1件目は慎重です。しかし2件目、3件目と経験を積むにつれて、判断は格段に早くなります。
理由はシンプルで
 ・相場観が身についている
 ・チェックすべきポイントが明確
 ・判断基準が数値化されている
からです。

「住まない」からこそ気にしないポイント

投資家は自分で住まないため、一般消費者が重視する細かな生活感や感情的な要素は相対的に重要度が下がります。
収益性が合うかどうか、それが最大の判断軸になります。

不動産買取業者が圧倒的に早い理由

取引回数が桁違い

不動産買取業者は、月に10件、20件と物件を仕入れることも珍しくありません。
そのため、1件ごとに悩む時間はほとんどなく、計算は非常にシンプルです。

判断基準は「数字」だけ

 ・いくらで仕入れるか
 ・いくらリフォームにかかるか
 ・最終的にいくらで売れるか
この収支が合えば即決、合わなければ見送り。
感情や迷いが入る余地がほとんどありません。

売却スピードに大きく影響する「融資」の問題

一般消費者と投資家はローンが前提

一般消費者の多くは住宅ローン、不動産投資家も融資を利用するケースが大半です。
そのため、売買契約後もローン審査という不確定要素が残ります。

ローン特約がスピードを左右する

一般的な個人取引では「ローン特約」が付きます。
これは、融資が通らなかった場合に契約を白紙に戻せる特約です。

一方、不動産買取業者は、
 ・銀行から包括的な融資枠を持っている
 ・ローン特約を付けない
というケースが多く、契約から決済までが非常にスムーズです。

実は価格は「売却スピード」と逆になる

高く売れやすい順番

売却価格の傾向は、スピードとは真逆になります。
 1.最も高い:一般消費者
 2.中間:不動産投資家
 3.最も低い:不動産買取業者

買取業者が安くなる理由

買取業者は、
 ・登記費用
 ・不動産取得税
 ・維持管理費
 ・リフォーム費用
 ・会社としての利益
これらすべてを考慮する必要があります。
そのため、一般消費者と同じ価格で買うと赤字になってしまうのです。

例外的に高値が出るケースもある

買取業者の「月末事情」

買取業者には、月ごとの仕入れノルマがあります。
月末になって「仕入れが足りない」という状況では、想定以上の価格が提示されることもあります。

どの売却方法が正解なのか?

正解は一つではない

 ・とにかく早く現金化したい
 ・時間がかかっても高く売りたい
 ・売却後も住み続けたい(リースバック)
売主様の事情によって、最適な売却先は変わります。

複数の選択肢を持つことが重要

一般消費者向け、投資家向け、買取業者向け。
すべての販売チャネルを把握したうえで戦略を立てることが、後悔しない不動産売却につながります。

一般消費者向け販売で失敗しやすいポイント

相場より高すぎる価格設定のリスク

売主様としては「少しでも高く売りたい」という気持ちが強くなりがちですが、相場から大きく外れた価格設定をすると、結果的に売却までの期間が長引く傾向があります。
不動産ポータルサイトに掲載された直後は注目されやすいものの、反響がない状態が続くと「売れ残り物件」という印象を持たれてしまうこともあります。

そうなると、価格を下げても「何か問題があるのでは」と疑われ、当初よりも条件が悪くなるケースも少なくありません。

販売期間が延びることで起こる心理的負担

売却活動が長期化すると
 ・内見対応が続く
 ・いつ売れるか分からない不安
 ・住み替え計画が立てられない
といった精神的な負担も大きくなります。
特に住み替えを伴う売却の場合、次の住居とのスケジュール調整が難しくなり、結果的に妥協した条件で売却してしまうこともあります。

スピード重視なら買取という選択肢

確実性を重視した売却方法

不動産買取の最大のメリットは、「確実に」「短期間で」売却できる点です。
近隣に知られずに売却できる
といったメリットを重視される方には、非常に合理的な選択肢と言えます。

こんな方には買取が向いている

 ・相続した不動産を早く整理したい
 ・空き家の管理が負担になっている
 ・離婚や転勤などで期限が決まっている
 ・近隣に売却を知られたくない
このような事情がある場合は、価格だけで判断せず、総合的なメリット・デメリットを比較することが重要です。

投資家向け販売という中間戦略

価格とスピードのバランス型

投資家向け販売は、一般消費者と買取業者の中間的なポジションです。
一般消費者ほど高値にはならないものの、買取よりは条件が良くなるケースも多く、かつ意思決定も比較的早いという特徴があります。

リースバックという選択肢

投資家向け販売の特徴的なメリットとして、「売却後も住み続けられる」可能性があります。
いわゆるリースバックと呼ばれる手法で、
 ・不動産を売却して資金を確保
 ・その後は賃貸として居住を継続
という形が取れます。
老後資金の確保や、急な資金需要がある場合には、有効な選択肢の一つです。

売却成功のカギは「最初の戦略設計」

A案・B案・C案を用意する重要性

不動産売却では、「この方法しかない」と決め打ちするよりも、
 ・A案:一般消費者向けで高値を狙う
 ・B案:一投資家向けに販売する
 ・C案:買取を検討する
といった複数のシナリオを用意しておくことが、結果的に後悔の少ない売却につながります。

プロに相談することで見える選択肢

不動産会社によっては、一般消費者向け販売しか扱っていない、あるいは買取しか提案しないケースもあります。
しかし、本来はそれぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、売主様の状況に合った選択肢を提示することが重要です。

売却理由、期限、資金計画などを整理したうえで相談することで、自分では気づかなかった最適解が見えてくることも少なくありません。

まとめ

不動産の売却期間と価格は、「誰に売るか」によって大きく左右されます。一般消費者向けは時間がかかるものの高値が期待でき、買取業者はスピード重視で価格は抑えめ、不動産投資家はその中間的存在です。どれが正解ということはなく、売主様の目的や期限に応じた選択が重要です。状況に合わせた複数のシナリオを検討し、納得のいく売却計画を立てることが成功への近道と言えるでしょう。

この記事を書いた人

宅地建物取引士茂木
宅地建物取引士茂木
神奈川県生まれ
平成18年に不動産業界に入り、平成21年に宅建試験合格現在に至ります。
宜しくお願い致します。

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