親の土地を子どもに無税で贈与する5つの方法とプチ遺言活用法|贈与税・名義変更のポイント徹底解説

親の土地を子どもに使わせたい、あるいは引き継がせたいと考えたとき、最も大きなハードルとなるのが「贈与税」と「名義変更」です。土地は評価額が高く、一括で贈与すると数百万円〜1,000万円以上の税金がかかることも少なくありません。本記事では、贈与税を抑える5つの方法と、将来のトラブル防止のためのプチ遺言活用法まで詳しく解説します。これを読めば、親子間で安全かつ効率的に土地を引き継ぐ方法が分かります。

親の土地を子どもに渡すときのよくある相談

親御さんの土地に子どもが家を建てたいというケースは多くあります。
特に相談が多いのは次のようなケースです。

・実家の土地を有効活用したい
・建物は子どもの名義で建てる予定
・親の高齢化に伴い、将来の相続を見据えた話が出始めた
・このタイミングで土地の名義も子どもに移した方がいいのではないか
この時に必ず問題になるのが、土地の贈与税や相続税の負担です。「土地を子ども名義にしたいけど、税金はできるだけ払いたくない」というのが多くの親御さんの本音です。

土地の贈与税の基本

土地評価額3000万円の場合

土地の評価額は、実際の売買価格ではなく、相続税や贈与税の計算で使われる評価額(路線価など)を基準にします。

仮に評価額が3,000万円の場合、一括で贈与すると贈与税は約1,000万円前後になることがあります。
・評価額は路線価や固定資産税評価額で計算
・実際に売買する場合の市場価格とは異なる
・都内などの土地は路線価より高くなることも

贈与税の負担

土地の贈与は高額になることが多いため、無計画に名義変更すると大きな税負担が発生します。
そのため、贈与税を抑える方法や名義変更のタイミングをしっかり考えることが重要です。

贈与税を抑える5つの方法

親の土地を子どもに渡す場合、主に次の5つの方法があります。
1.相続時精算課税
2.歴年贈与
3.売買
4.使用貸借(無償使用)
5.家族信託+受益権の歴年贈与
それぞれ詳しく解説していきます。

方法① 相続時精算課税

概要

相続時精算課税は、今贈与するが、税金は相続時にまとめて精算するという制度です。
2500万円までは贈与税がかかりません。

メリット

・一括で名義変更できる
・短期間で贈与を完了できるため、家の建築計画がスムーズ
・すでに子どもの名義になるため、他の相続人の影響を受けにくい

デメリット

・相続税の節税にはならない
・小規模宅地特例は使えない
・一度使うと、歴年贈与に戻れない

方法② 歴年贈与

概要

歴年贈与とは、毎年110万円まで非課税で贈与できる制度を利用し、土地の持分を少しずつ子どもに移していく方法です。

メリット

・非課税枠を使えば贈与税がかからない
・相続財産を減らせるため、相続税対策になる
・親子間で毎年柔軟に贈与量を調整できる

デメリット

・毎年手続きが必要で非常に手間がかかる
・不動産の登記に費用がかかる
・定期定額贈与とみなされると課税されるリスク
・相続前7年以内の贈与は相続財産に加算される

方法③ 親子間売買

概要

親子間で土地を売買し、代金を受け取る方法です。贈与ではないため贈与税はかかりません。

メリット

・贈与税がかからない
・親に現金が入る
・相続財産から外れるため相続トラブルを回避可能

デメリット

・親に譲渡所得税がかかる
・子どもが購入資金を用意する必要がある
・親子間売買は住宅ローンの審査が厳しい

注意点

親子間売買は一見便利に思えますが、住宅ローンの利用が難しく、資金面で親子に負担が生じやすいため慎重に検討が必要です。
また、「どうせ将来相続で取得できる土地を、わざわざ買う意味があるのか?」という根本的な疑問もあります。
相続関係が複雑な家庭を除き、一般的には選ばれにくい方法です。

方法④ 使用貸借(無償使用)

概要

土地の名義は親のまま、子どもが無償で使用する方法です。

メリット

・贈与税が一切かからない
・小規模宅地等の特例が使える可能性がある
・子どもは費用をかけずに土地を利用可能

デメリット

・住宅ローンが非常に組みにくい
・親が認知症になると手続きが困難
・他の相続人とトラブルになりやすい

特に兄弟姉妹がいる場合、
「土地を無償で使っていたのは不公平だ」
と相続時に揉めるケースが非常に多い方法です。

補足:土地贈与・名義変更の注意点(プチ遺言活用)

使用貸借の最大の課題は、相続時に他の相続人とトラブルになりやすいことです。

ここで活躍するのがプチ遺言です。
プチ遺言とは、全財産ではなく特定の財産だけに効力を持たせる簡易的な遺言です。
プチ遺言を作る場合は、内容を具体的に記載することが重要です。「息子に使用させる」だけでなく、「住宅を建てる目的で使用可能」といった具体的な条件を記載すると、後々の誤解や争いを防げます。これにより、親の意思を明確に残しつつ、子どもが安心して土地を利用できる環境を整えることが可能です。

方法⑤ 家族信託+受益権の歴年贈与

家族信託とは?

家族信託とは、親の財産の管理・運用を子どもに託す仕組みです。
・所有権は親に残る
・管理権限だけを子どもに移せる
・親が認知症になっても運用が可能

受益権を歴年贈与

家族信託で発生する受益権を少しずつ子どもに贈与することで、税制面で有利に土地管理ができます。

メリット

・土地の管理・運用を子どもに任せられる
・歴年贈与を組み合わせられる
・不動産の名義変更よりコストが安い
・遺言の代わりとしても機能する
・プチ遺言と組み合わせ可能

デメリット

・専門家(司法書士・税理士)との連携が必要
・契約書作成や登記に費用がかかる
・制度理解が難しい
・歴年贈与と同様の注意点がある
高度な方法ですが、近年注目されている選択肢です。

プチ遺言の活用法と作り方

プチ遺言とは?

プチ遺言は、全財産ではなく一部財産について意思を明確にするための簡易遺言です。
・作成費用が安い
・家族信託や使用貸借と組み合わせやすい
・相続トラブルを未然に防げる

作成のポイント

1例えば、書面に「この土地は息子に使用させる」と明記
2.公正証書にするとより強い効力
3.他の財産との整合性に注意

プチ遺言と家族信託の組み合わせ

使用貸借や家族信託と併用することで、土地の利用権と所有権の管理を分離でき、贈与税や相続税のリスクも抑えられます。

Q&A よくある質問

Q1 土地の贈与は絶対に贈与税がかかるのか?
・相続時精算課税や歴年贈与、使用貸借を活用すれば無税も可能です。
Q2プチ遺言だけで十分か?
・特定の土地だけなら十分機能します
・全財産を包括する場合は通常の遺言と併用するのが望ましいです
Q3 家族信託は難しい?
専門家の助けが必要ですが、土地管理や認知症リスクに対応できるメリットは大きいです

まとめ

土地を子どもに渡す際は、贈与税や相続税、住宅ローン、相続人間の揉め事などさまざまなリスクが伴います。
制度としては、相続時精算課税、歴年贈与、親子間売買、使用貸借、家族信託+受益権歴年贈与の5つがあります。
それぞれメリット・デメリットがあり、家庭の状況や相続人構成によって最適な方法は変わります。
プチ遺言を活用することで親の意思を明確にしながら、子どもが安心して土地を利用できる環境を作れます。
重要なのは「一番安易な方法に飛びつかないこと」と「将来の相続まで見据えて判断すること」です。
制度や税制だけでなく、書類や名義の整備をしっかり行うことです。最終的には、税理士や司法書士と相談し、最適な形を選ぶことをおすすめします。

この記事を書いた人

宅地建物取引士茂木
宅地建物取引士茂木
神奈川県生まれ
平成18年に不動産業界に入り、平成21年に宅建試験合格現在に至ります。
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