受験季節に思う、住宅ローンという名の人生設計

娘の受験が終わった。
結果がどうあれ、本人が「悔いがない」と言っていたことが、親として一番ほっとする材料でした。
窓の外には桜が咲いている。この季節になると毎年思うことがあります。
春は始まりの季節だ。進学、就職、転居。人生の節目節目に、不動産という問題が静かに顔を出す。
「今払えるか」ではなく「将来払えるか」
受験が終わると進学先が決まり、進学先が決まると住まいの問題が生じます。最近、自宅から通える大学を選ぶ家庭が体感的に増えているとかんじますね。
理由は明白。家計の余裕がないのだと。
ある統計によれば、子ども一人を育てる費用は2,000万円から4,000万円とされています。
もはや住宅ローンと同水準。さらに大学卒業時点での奨学金借入平均は約300万円という数字もあります。
社会に出た瞬間、マイナス300万円からのスタートを強いられる若者が今の日本には無数に存在することになります。

実際、私の周りには四十代になっても奨学金を払っている人は複数います。
これでは少子化が止まるはずもありません。
ただ、私は「政治が悪い」「世の中が悪い」と言いたいわけではもちろん、、、ない。
いつの世でも、その時代を把握して生きていくしかない。
嘆くより、知ることの方がずっと建設的だ。
そして、その「知ること」の中で最も重要なもののひとつが、住宅ローンに対する正しい視点だと私は思っている。
住宅ローンは「今」ではなく「20年後」で考える思考です。
住宅を購入する際、多くの方が「今の家賃と同じ月々の支払いなら大丈夫」という判断をしています。
気持ちはわかる。
でもそれは危険な錯覚と言わざるを得ません。
住宅ローンは35年という長い旅。
その間に何が起こるか。
子どもの教育費がピークを迎える。
役職定年で年収が下がる。
病気や介護が重なる。
そういった現実が、契約時には見えていないことが多いと感じます。
弊社に相談にいらっしゃる方の中には、学費が原因でローンの支払いが困難になった方。
役職定年による年収ダウンで自宅を手放さざるを得なくなった方。
など、いずれも、購入時点では「まさか自分が」と思っていたはずです。
結婚式のあいさつではないが、人生にはまさかという坂があります。
「今払えるか?」ではなく「将来的に払えるか?」という視点。
これが住宅購入において最も重要な問いだと、20年以上この仕事を続けてきた私は確信しています。
お金の心配なく過ごせる日常という幸せ。
娘が「悔いがない」と言った時、私が感じたほっとする気持ちの正体は何だろうと考えました。
ちなみに娘は大学受験でなく、高校受験ですが、、、
結果への安堵ではなく、子どもが自分の人生を自分のものとして歩んでいるという感覚だったと思う。
それは住宅でも同じ。
お金の心配なく毎日を過ごせる。それは決して贅沢な望みではなく人生における、かけがえのない幸せの重要なピース。
その幸せを守るために、住宅ローンと向き合う時には「現在」だけでなく「未来」を見る目が必要です。
それは難しいことではなく、少し立ち止まって、10年後・20年後の自分の姿を具体的に想像してみるだけでいい。
不動産のプロとして、私が伝え続けたいこと。
この「思考の書斎」では、不動産業界で起きていること、法改正の動き、そして実際の相談現場で感じることを、私自身の言葉で発信していきたいと思っています。
きれいごとは書きません。業界の内側にいるからこそ見える現実を、できる限りそのままの言葉で届けたい。
それが、離婚・相続・借地・農地といった「ややこしい不動産」と向き合ってきた私にできる、社会への貢献だと思っています。
桜はまた来年も咲く。でも人生の節目は一度きり。大切な決断をするとき、この書斎が少しでも役に立てれば嬉しいです。
この記事を書いた人

-
宅地建物取引士、建築士、公認不動産コンサルティングマスターなどの有資格者。
「相続した実家、売る?貸す?使う?」
「杉山善昭の不動産ワクチンがいまなぜ必要か?」著者
(公社)神奈川県宅地建物取引業協会理事兼中央無料相談所相談員。
1990年から不動産業界に従事、2005年(有)ライフステージ代表取締役就任。
最新の投稿
youtube2026年2月27日不動産売買のトラブルを防ぐ「付帯設備表」とは?エアコン・給湯器・カーテンの扱いを宅建士が徹底解説
youtube2026年2月23日農家の分家住宅を売るのは違法?リスクと注意点を宅建士が徹底解説
代表杉山善昭/思考の書斎2026年2月23日受験季節に思う、住宅ローンという名の人生設計
メディア2026年2月22日FMヨコハマおうち売却マスター「おばま」放送記録

