相続で地獄を見る前に|実家を相続するときに必ず確認すべき5つの落とし穴と事前チェック法
「実家は親の持ち家だし、特に問題はないはず」
そう思っている方ほど、相続のタイミングで大きなトラブルに直面するケースが後を絶ちません。名義の問題、借地、私道、境界、未登記建物など、普段の生活では気づきにくい問題が、相続や売却の場面で一気に噴き出します。本記事では、宅建士の実務経験をもとに、相続してから後悔しないために、相続前に必ず確認すべき実家のチェックポイントをわかりやすく解説します。
相続した実家で「こんなはずじゃなかった」が起きる理由
ご実家は、長年普通に生活できていたからこそ「何も問題がない」と思われがちです。
しかし、不動産の問題は住んでいるだけでは表面化しないものが非常に多いのが実情です。
特に多いのが、
・相続して売却しようとした段階
・相続登記をしようとした段階
このタイミングで初めて問題が発覚し、相続人が頭を抱えるケースです。
実務の現場では、
「生前に確認しておけば、こんなに大変じゃなかったのに…」
という声を何度も耳にしてきました。
だからこそ重要なのが、相続前のチェックです。
よくある誤解①「実家は当然、親の持ち物」
名義が親ではないケースは想像以上に多い
最も多い誤解が、
「住んでいる=親の持ち物」
という思い込みです。
実際には、
・祖父母名義のまま
・叔父・叔母名義
・共有名義の一部だけ
というケースも珍しくありません。
名義が古いままだと何が問題なのか
名義が親ではない場合、相続手続きは一気に複雑になります。
例えば、
・祖父名義のまま
・祖父が7人兄弟
・それぞれに子どもがいる
この場合、相続人が10人、15人、場合によってはそれ以上になることもあります。
ケース①:祖父名義のまま放置されていた実家
相続人が爆発的に増える現実
相続登記を行うには、
・被相続人の出生から死亡までの戸籍
・相続人全員の戸籍
が必要になります。
戸籍は本籍を移すたびに新しく作られるため、
1人につき複数の戸籍が存在することも珍しくありません。
相続人が10人いれば、
集める戸籍は30通以上
ということも現実的に起こります。
判子が1つ足りないだけで進まない
さらに厄介なのが、
相続人全員の同意(実印・印鑑証明)が必要な点です。
1人でも連絡が取れない
1人でも話がまとまらない
これだけで、相続手続きは完全にストップします。
よくある誤解②「持ち家だから土地も自分のもの」
実は借地だったという衝撃
権利書が見つからない、という相談から判明するケースも多いのが借地です。
「土地の権利書がない!」
と大騒ぎした結果、
実は土地は借り物だった、ということも少なくありません。
借地であることを、
・親が子に伝えていなかった
・あえて言わなかった
というケースも実務では実際にあります。
ケース②:借地権トラブルの落とし穴
契約書が見つからない問題
借地であることが分かっても、
・契約書が見つからない
・地主が非協力的
という二重苦に陥ることもあります。
地主によっては、
「そんな話は知らない」
「条件を変えたい」
といった主張をされることもあり、トラブルの火種になります。
借地権は相続される=負担も相続される
借地権は、相続によって消える権利ではありません。
相続されるということは、
・地代の支払い
・更新料の支払い
といった義務も引き継ぐということです。
更新料が数百万円になるケースもあり、
相続後に大きな金銭負担がのしかかることもあります。
よくある誤解③「道路は通れているから問題ない」
私道には2つの重大な問題がある
私道問題には、次の2つの視点があります。
①通行権があるかどうか
通れている=権利がある
とは限りません。
「黙認されているだけ」
というケースも非常に多いのです。
②建築基準法上の道路かどうか
建物を建てるには、
建築基準法上の道路に2m以上接していること
が必要です。
これを満たさない場合、
・建替え不可
・再建築不可
という重大な制限がかかります。
ケース③:配管・越境・境界問題
配管が他人の敷地を通っている
・自分の配管が他人の土地を通っている
・他人の配管が自分の土地を通っている
この場合、土地の利用が大きく制限されます。
配管の上には建物を建てられないため、
資産価値にも大きく影響します。
境界は「見た目」で判断できない
ブロック塀やフェンスがあっても、
そこが正式な境界とは限りません。
境界問題は、
売却時にほぼ確実に表面化します。
相続トラブルは「売るとき」に噴き出す
これらの問題は、
住んでいる間は何も起こらなくても、
・相続
・売却
のタイミングで一気に明るみに出ます。
困るのは、
相続人自身です。
相続前に解決する方が圧倒的に有利な理由
現役世代には「時間」という資産がある
相続後は、
・相続税の申告期限(10か月)
・仕事や家庭との両立
時間的余裕がほとんどありません。
一方、現役世代であれば、
時間をかけて一つずつ解決できます。
事前対策は節税にもつながる
例えば、
配管の引き直し工事を生前に行えば、
・現金が減る
・相続財産が減る
・相続税が減る
結果として、
トータルで見れば得になるケースも多いのです。
特に多い相続トラブルTOP5
1.名義が祖父母のまま
2.相続登記未了
3.借地・再建築不可
4.私道・通行権問題
5.境界・隣地トラブル
これらは、
実務で「本当によくある」問題です。
建物の未登記・増築未登記にも注意
地方では、
・建物自体が未登記
都市部では、
・増築部分が未登記
というケースも多く見られます。
これも売却時・相続時の大きな障害になります。
相続前チェックに役立つチェックシート
相続トラブルを未然に防ぐため、
25項目のチェックシートを活用することが有効です。
・名義は誰か
・道路の種類
・登記状況
現役世代だからこそ確認できる項目が多数あります。
相続前チェックを進めるときの現実的な進め方
「相続前にチェックした方がいいのは分かった。でも、何から手をつければいいのか分からない」
これは非常によく聞く声です。確かに、不動産の相続対策は専門用語も多く、心理的なハードルが高くなりがちです。
しかし、最初からすべてを完璧にやろうとする必要はありません。
大切なのは、大きなリスクがあるかどうかを見極めることです。
まずは登記簿を取得するところから始める
最初の一歩としておすすめなのが、登記簿謄本(登記事項証明書)を取得することです。
登記簿を見れば、
・現在の名義人
・土地と建物の関係
・抵当権の有無
といった基本情報が一目で分かります。
ここで
「親の名義じゃない」
「建物が載っていない」
といった事実が判明するだけでも、相続対策の方向性は大きく変わります。
道路と境界は「役所」で確認できる
私道や建築基準法上の道路かどうかは、
市区町村の建築指導課や道路課で確認できます。
「ずっと通れているから大丈夫」
ではなく、
法的にどうなっているか
を確認することが重要です
境界についても、
確定測量がされているかどうかでトラブルの起こりやすさは大きく変わります。
親が元気なうちに「聞いておく」ことの価値
相続トラブルの多くは、
「聞いておけばよかった」
という後悔とセットで語られます。
・借地であること
・昔の口約束
・隣地との暗黙の了解
こういった話は、書類には残っていないことがほとんどです。
親が元気なうちに話を聞いておくこと自体が、立派な相続対策になります。
相続対策は「家族のための行為」
相続前のチェックや対策は、
決して「縁起が悪い話」ではありません。
むしろ、
・子ども
・孫
・家族全体
に無用な負担をかけないための、非常に前向きな行為です。
実際に現場で感じるのは、
「やっておいて本当によかった」
というケースはあっても、
「やらなければよかった」
という声はほとんど聞かないということです。
まとめ
実家の相続トラブルは、「知らなかった」「問題ないと思っていた」ことから始まります。名義、借地、私道、配管、境界などは、住んでいるだけでは気づきにくく、相続や売却の段階で一気に表面化します。相続後に慌てて対処するより、時間と判断力のある現役世代のうちに確認・解決しておく方が、精神的にも経済的にも圧倒的に有利です。
「今は大丈夫」ではなく、「もしかしたら問題があるかも」という視点で、一度実家をチェックしてみることを強くおすすめします。
この記事を書いた人

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神奈川県生まれ
平成18年に不動産業界に入り、平成21年に宅建試験合格現在に至ります。
宜しくお願い致します。
近隣エリアにお住まいの不動産オーナー様。
もし、相続で得た不動産をどうしたら良いかお悩みでしたら、ぜひ一度、弊社の無料相談をご利用ください。
売却が良いのか、賃貸が良いのか、お客様のご状況に合わせてご提案させていただきます。お気軽にお問い合わせください。




