中の荷物が片付けられない家はどう売る?相続・実家売却で失敗しない現実的な方法
相続や住み替えをきっかけに「使わなくなった実家」を所有することになったものの、家の中が荷物であふれていて手を付けられない——そんな悩みを抱える方は年々増えています。片付けなければ売れないと思い込み、時間だけが過ぎてしまうケースも少なくありません。本記事では、宅建士の視点から「中の荷物を片付けられない家」をどのように売却すればよいのか、現実的な選択肢と注意点を詳しく解説します。
なぜ「片付けられない家」が増えているのか
近年、「家余り」と言われる時代に入り、使われていない住宅が全国的に増加しています。特に多いのが、相続によって取得した実家です。
相続実家にありがちな状況
相続した実家には、次のような特徴がよく見られます。
・何十年分もの生活用品が残っている
・家具・衣類・書類・思い出の品が大量にある
・誰の物か分からず、勝手に捨てられない
・遠方に住んでいて頻繁に行けない
結果として「売りたいけれど、片付けられない」「片付けられないから売れない」という悪循環に陥ってしまいます。
不動産売買における基本ルールを知っておこう
まず大前提として、不動産売却には契約上の原則があります。これはほとんどの売買契約書に共通して記載されている内容です。
売買契約書に書かれている重要な一文
一般的な売買契約書には、次のような条文があります。
売主は自己の責任と負担において、本物件引き渡しまでに動産をすべて撤去し、買主に引き渡すものとする。
「自己の責任と負担」の意味
この一文が意味することは非常にシンプルです。
・荷物(動産)は売主が片付ける
・片付け費用は売主が負担する
・引き渡し時には空の状態にする
つまり、原則論としては「売る前に売主が片付ける」というのが不動産取引の基本ルールなのです。
売主が直面する現実的な問題点
理屈は分かっていても、実際に片付けようとすると多くの壁にぶつかります。
とにかく手間がかかりすぎる
どこから手を付けていいか分からない、やる気が起きない、という声は非常に多いです。家一軒分の荷物は想像以上に多く、精神的な負担も大きくなります。
家が遠方にある問題
・新幹線や飛行機で移動しなければならない
・何日も時間を確保できない
・交通費・宿泊費がかかる
こうした事情から、片付けが後回しになりがちです。
片付け費用が高額になる
実際の現場では、
・50万円
・80万円
・場合によっては100万円以上
といった処分費用がかかるケースも珍しくありません。相続で受け取った現金が少ない場合、自分の貯金から支払うことになり、心理的ハードルは非常に高くなります。
誰に頼めばいいのか分からない
・信頼できる片付け業者が分からない
・インターネットの情報が信用できない
・相場が分からず不安
こうした「分からない」が重なり、何も進まなくなってしまいます。
残すもの・捨てるものの考え方
片付けで多くの方が悩むのが「何を残すか」です。
時間を決めて割り切ることが重要
おすすめなのは、
・期間を決める(例:1か月)
・必要な物だけ持ち帰る
・それ以外は処分前提で考える
という方法です。なぜなら、すべてを確認しようとするとキリがないからです。
換金価値がある物は限られている
経験上、換金価値がある物は決まった場所に集中しています。
・金庫
・引き出し
・書類棚
突拍子もない場所から高価な物が出てくるケースは、ほぼありません。
着物は高く売れるとは限らない
「着物=高価」というイメージがありますが、現実は厳しいです。
・保管状態が悪い
・虫食い・シミがある
・市場価値が低い
結果として、値段が付かないことがほとんどです。思い入れが強い場合を除き、処分対象と考えた方が現実的です。
選択肢① 荷物をそのまま残して売る方法
ここからは、具体的な売却方法について解説します。まず一つ目は「片付けずに売る」方法です。
メリット
・すぐに売り出せる
・片付け費用がかからない
・手間がほとんどない
価格と不動産会社さえ決めれば、すぐに販売活動を開始できます。
デメリット
見た目が悪い
荷物が多いと、どうしても印象は悪くなります。
内覧対応が大変
動産がある物件では、トラブル防止のため鍵を預からないケースが多く、内覧のたびに立ち会いが必要になります。
想像以上に価格が下がる
処分費用が80万円の場合、
・80万円値引き → 買主のメリットなし
・100万円以上値引き → ようやく検討対象
結果として、処分費以上に価格が下がることが一般的です。
選択肢② 荷物ありを前提条件にして売る方法
次におすすめなのが、「必要な物だけ持ち出し、残りは買主負担」と最初から条件提示する方法です。
この方法の特徴
・販売条件として明確に提示
・買主は最初から予算計画が立てられる
・後出しトラブルがない
不動産取引では、最初に条件を明確にすることが非常に重要です。
選択肢③ 売れてから片付ける「売れたら片付けるプラン」
最後に、最も現実的で選ばれることが多い方法です。
仕組みについて
・荷物がある状態で売り出す
・買主が決定
・引き渡しまでに売主が片付ける
契約書にも明記し、法的にも問題のない形で進めます。
最大のメリットは「先にお金を出さなくていい」
売却代金を受け取る直前に片付けを行うため、
・自腹で処分費を払わない
・売却代金からそのまま支払える
という大きなメリットがあります。
スピード感も損なわれない
片付け前でも販売開始できるため、売却のスタートが遅れません。
どの方法が正解なのか?
結論として、「絶対にこの方法が正解」というものはありません。
・早く手放したい
・お金をかけたくない
・手間を減らしたい
人によって状況は異なります。大切なのは、今の自分の状況に合った売却スケジュールを組むことです。
専門家に相談することで得られる具体的なメリット
中の荷物が片付けられない家の売却では、「自分一人で何とかしよう」と考えるほど、判断が遅れ、結果的に損をしてしまうケースが少なくありません。不動産売却と残置物処理は、それぞれ専門性が高く、経験の差が結果に大きく影響します
売却価格とスケジュールを同時に考えられる
専門家に相談する最大のメリットは、「いくらで売れるか」だけでなく、「いつ・どの段階で片付けるのがベストか」まで含めたスケジュール設計ができる点です。
自己判断で先に片付けてしまい、実は売却価格が思ったより低く、処分費用を回収できなかったという例も珍しくありません。
一方で、最初から不動産会社が関与することで、
・荷物あり前提の査定
・片付け費用を織り込んだ価格設定
・売却後処分を前提とした契約条件
といった形で、無駄のない売却戦略を立てることが可能になります。
片付け業者との連携がスムーズになる
不動産会社によっては、信頼できる片付け業者や遺品整理業者と連携しているケースもあります。これにより、
・相場より極端に高い見積もりを避けられる
・売却スケジュールに合わせた作業が可能
・不動産引き渡しに間に合わないリスクを減らせる
といったメリットが生まれます。特に「売れたら片付けるプラン」を選択する場合、この連携は非常に重要です。
精神的な負担を大きく減らせる
相続した実家の片付けには、金銭面だけでなく精神的な負担も伴います。思い出の詰まった品物を前に判断ができず、作業が止まってしまう方も多いでしょう。
第三者である専門家が間に入ることで、「売却のために必要な作業」として整理でき、気持ちの整理もしやすくなります。
まとめ
中の荷物が片付けられない家でも、不動産は売却できます。大切なのは「片付けてから売る」だけに固執せず、荷物ありのまま売る、条件付きで売る、売れてから片付けるといった選択肢を知ることです。無理に自己負担で処分費を出す必要はありません。状況に応じた売却方法を選べば、精神的・金銭的な負担を大きく減らすことができます。実家や相続不動産の売却で悩んでいる方は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
この記事を書いた人

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神奈川県生まれ
平成18年に不動産業界に入り、平成21年に宅建試験合格現在に至ります。
宜しくお願い致します。
近隣エリアにお住まいの不動産オーナー様。
もし、相続で得た不動産をどうしたら良いかお悩みでしたら、ぜひ一度、弊社の無料相談をご利用ください。
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