家が売れない人必見!価格を下げても反応がない理由と正しい価格戦略

「家を売りに出して数か月経つのに、まったく反応がない」「思い切って値下げしたのに問い合わせが増えない」。不動産売却の現場では、このような悩みが非常に多く見られます。特に多いのが「とりあえず100万円下げてみよう」という判断です。しかし実はこの値下げ、多くの場合で“意味のない値下げ”になっています。本記事では、なぜ100万円の値下げが売却につながらないのか、そして本当に効果のある価格戦略について、宅建士の視点から詳しく解説します。

家が売れないとき、まず考える「値下げ」という選択

売れない原因は本当に「価格」だけなのか

売却が長期化すると、どうしても「高すぎるから売れないのでは」と考えがちです。
もちろん価格が市場相場から大きく乖離していれば、それが原因になります。

ただし、不動産が売れない理由は価格だけではありません。
・そもそも市場での立ち位置が適切でない
・ポータルサイト上で埋もれている
・写真や情報の見せ方が弱い
・買主の心理に刺さっていない
これらを整理せずに、感覚的に値段だけを少し下げてしまうと、時間だけが過ぎていく結果になりやすいのです。

なぜ「100万円の値下げ」は意味がないのか

100万円は大金だが、不動産では「誤差」になる


100万円と聞くと、多くの人は「大きな金額」と感じます。
貯めるのは簡単ではありませんし、決して軽いお金ではありません。

しかし、不動産という数千万円単位の商品においては話が変わります。

たとえば、
・2,000万円の物件
・3,000万円の物件
・5,000万円の物件
これらが100万円下がったところで、価格帯としてはほとんど変わりません。

ポータルサイトの検索構造がカギ

SUUMO、HOME’S、at homeなどの不動産ポータルサイトでは、購入希望者は価格帯検索を行います。

多くの場合、価格帯は以下のように区切られています。
・~500万円
・500万~1,000万円
・1,000万~1,500万円
・1,500万~2,000万円
・2,000万~2,500万円
・2,500万~3,000万円
・3,000万~3,500万円
・3,500万~4,000万円
・4,000万~4,500万円
・4,500万~5,000万円
・5,000万~5,500万円

たとえば、5,380万円で売り出している物件を5,280万円に値下げした場合、
検索上はどちらも「5,000万~5,500万円」の枠内です。
つまり、
すでにその価格帯で探している人の目には、値下げ前から届いている
ということになります。
それでも問い合わせがなかったのなら、100万円下げても状況は変わらない可能性が非常に高いのです。

買主心理から見る「値下げのインパクト」

買主は意外とシビアに価格を見ている

売主側からすると、「100万円も下げたのに」と感じます。
しかし買主側の視点は、もう少し冷静です。

例えば、
・「5,000万円になったら検討したい」
・「4,980万円なら現実的」
こう考えている人は、5,380万円が5,280万円になった程度では、心は動きません。

差し値が入らない理由

買主が本気で検討している場合、価格が少し高ければ「差し値(値引き交渉)」を入れてきます。
しかし、
・5,380万円 → 5,280万円
・買いたい価格:4,500万円
この差があまりに大きいと、「さすがに失礼だ」と感じ、問い合わせすらしないケースが多いのです。

結果として、
問い合わせが来ない=価格が合っていない
というサインが無視され続けることになります。

住宅ローンから見る100万円の現実

ほとんどの買主はローンを使う

不動産取引において、現金一括で購入する人は少数派です。
体感的には10件に1件程度、多くても2割未満でしょう。
ほとんどの買主は住宅ローンを利用します。

100万円下がっても、月々の支払いはほぼ変わらない

仮に、
・借入期間:35年
・金利:0.6%前後(変動金利)
・この条件で計算すると、100万円の差は月々約2,600円程度にしかなりません。

つまり買主から見ると、
・「家賃より安くなるか」
・「無理なく返せるか」
といった大きな判断に、100万円の値下げはほとんど影響を与えないのです。

意味のある値下げとは「10%」

10%下がると印象が一気に変わる

では、どれくらい下げれば意味があるのか。
その目安が10%です。

5,000万円の物件なら500万円。
このレベルになると、買主の印象は大きく変わります。
・「かなり下がった」
・「本気で売る気だ」
・「今がチャンスかもしれない」

という心理が働き始めます。

検索枠が変わる効果は絶大

5,380万円 → 4,980万円
この値下げでは約400万円ですが、検索枠は5,000万円台から4,000万円台へ移動します。

これにより、
・これまで見ていなかった層
・予算ギリギリで探していた層
という新しい買主層にアプローチできるようになります。

諸費用を考慮すると10%は理にかなっている

物件価格以外にかかるお金

不動産購入では、物件価格以外にも費用がかかります。
・登記費用
・住宅ローン手数料
・火災保険料
・仲介手数料
これらを合計すると、概ね物件価格の約10%前後になることが多いです。

値下げ=諸費用分を肩代わりしてあげる感覚

10%の値下げがあると、買主は
「実質、同じ予算で諸費用込みで買える」
と感じることができます。

これは非常に強いメリットで、購入を後押しする大きな要因になります。

値下げ前に必ずやるべき市場調査

競合物件を冷静に見る

価格を下げる前に、必ず近隣の競合物件をチェックしましょう。

売主はどうしても、
・自分の家が一番良い
・他の物件の欠点ばかり目につく
という状態になりがちです。

しかし買主は、複数の物件を冷静に比較しています。

「見に来ない=価格が合っていない」

内覧が入らない状態が続く場合、それは明確なサインです。
・見に来ない → 興味を持たれていない
・見に来ても決まらない → 期待値を下回っている
この事実を受け止めることが、次の一手につながります。

無駄な値下げは「時間」という最大のコストを失う

少しずつ値下げを繰り返すと、
・「売れ残り感」が出る
・買主が様子見をする
・結果的にさらに安くなる
という悪循環に陥ります。

不動産売却において、時間は最大のコストです。
戦略のない値下げは、その時間を浪費するだけになりかねません。

まとめ

家が売れないときに多くの売主が選びがちな「100万円の値下げ」は、不動産市場においてはほとんど意味を持たないケースが大半です。ポータルサイトの価格帯検索では枠が変わらず、買主の目にはすでに届いているため、反応が変わらないのは当然とも言えます。また、住宅ローンを利用する買主にとっては、100万円の差は月々数千円程度に過ぎず、購入判断を左右するほどのインパクトはありません。
意味のある価格変更の目安は約10%です。この水準まで下げることで検索枠が変わり、新しい買主層に届くだけでなく、諸費用込みで購入できるという強いお得感を与えることができます。一方で、値下げはあくまで戦略の一部であり、価格だけを下げれば必ず売れるわけではありません。写真や物件情報の見せ方、引き渡し条件の柔軟性、売却理由の伝え方なども含めて総合的に見直すことが重要です。無駄な値下げを繰り返して時間を浪費するのではなく、市場と買主心理を踏まえた戦略的な判断こそが、納得のいく不動産売却への近道となります。

この記事を書いた人

宅地建物取引士茂木
宅地建物取引士茂木
神奈川県生まれ
平成18年に不動産業界に入り、平成21年に宅建試験合格現在に至ります。
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