銀行はここを見ている!住宅ローン審査の仕組みと重要ポイントを宅建士が徹底解説
住宅ローンは人生で最も大きな借入となるケースがほとんどです。そのため銀行は、物件の内容だけでなく、借りる人の生活状況やお金の使い方まで含めて慎重に審査を行います。不動産を売却する立場の方にとっても、買主がどのような基準で住宅ローン審査を受けるのかを理解しておくことは、成約を確実にする重要な判断材料になります。本記事では、銀行が住宅ローン審査で実際に見ているポイントを「物」と「人」の2つの視点から、宅建士の立場で詳しく解説します。
住宅ローン審査は「物」と「人」の2段階で行われる
住宅ローン審査は、非常にシンプルな構造をしています。
それは、「物件」と「人」、この2つをそれぞれ審査し、両方が基準を満たしたときに融資が実行されるというものです。
どれだけ収入が高くても、物件の評価が著しく低ければローンは通りません。
逆に、物件の条件が良くても、借りる人の信用力が不足していれば融資は否決されます。
物件に対する審査で見られるポイント
販売価格は銀行にとって重要ではない
多くの方が誤解しがちですが、ポータルサイトやチラシに記載されている販売価格は、銀行にとって最重要項目ではありません。
銀行が見ているのは、
「その物件に対して、自己資金はいくら入っているのか」
「借入額はいくらになるのか」
という資金計画全体の安全性です。
販売価格と銀行評価は明確に違う
販売価格は、売主の希望や市場戦略によって決められます。
一方、銀行評価は「この不動産を担保として見たとき、いくらの価値があるか」を銀行独自の視点で判断した金額です。
銀行は不動産鑑定士を使うことはほとんどなく、
・周辺相場
・過去の融資実績
・類似物件の取引事例
など、一般の人でも確認できる情報をもとに評価を行います。
銀行が最も重視するのは評価額と借入額の関係
銀行にとって最大の関心事は「貸倒れリスク」です。
そのため、
「銀行評価額 > 借入額」
という関係が成り立っているかどうかです。
評価額を超える融資は、万が一返済不能になった場合に回収ができないため、原則として認められません。
ただそうは言っても、借りる方が十分な自己資金を持っていれば銀行のリスクというのは減りますよね。
掛け目という考え方と住宅ローンの特徴
銀行評価額に対して、何%まで融資するかを「掛け目」と呼びます。
かつては評価額の80%までという時代もありましたが、現在では住宅ローンに限り、評価額の100%まで融資する銀行も珍しくありません。
これは、住宅ローンが融資商品の中でも事故率が非常に低いとされているためです。
多くの人が「最後まで自宅だけは守ろう」と考え、返済を優先する傾向があるからです。
投資用不動産で掛け目が低く設定される理由
現在でも、投資用不動産を購入する際には、銀行評価に対する掛け目が非常に低く設定されるケースが一般的です。具体的には、銀行評価額の7割程度までしか融資しないという銀行も珍しくありません。
これは、銀行が投資用不動産を「リスクの高い融資」と位置付けているためです。
その理由の一つが、万が一貸倒れが発生した場合の処分方法にあります。返済不能になった場合、銀行は不動産を競売という手続きで売却しますが、競売で成立する価格は、市場価格のおおよそ半分程度になることが多いのが実情です。
つまり、評価額いっぱいまで貸してしまうと、競売時に大きな損失が発生する可能性が高くなるため、銀行はあらかじめ掛け目を低く設定し、リスクをコントロールしているのです。
人に対する審査で見られる重要ポイント
自己資金は生活力の証明
自己資金は、銀行が最も重視する項目の一つです。
自己資金が多いということは、これまでの生活の中で安定した収支管理ができてきた証拠だと評価されます。
親からの援助は資金としては有効ですが、「本人の生活力」を示すものではないため、銀行は慎重に見ています。
自己資金ゼロが与える印象
理論上は、自己資金ゼロでも住宅ローンを組むことは可能です。
しかし銀行は、
「これまで数十年間生きてきて、家を買うための貯蓄ができなかった人」
という見方をします。
50万〜100万円程度の自己資金では、実質的に「ほぼゼロ」と判断されることもあり、この点は注意が必要です。。
勤務先・勤続年数・転職歴
銀行は、返済が長期間安定して続くかを重視します。
そのため、
・公務員
・上場企業
・業歴の長い企業
などは評価が高くなりやすい傾向があります。
勤続年数も重要で、短期間で転職を繰り返している場合は、忍耐力や継続性に不安があると判断されることがあります。
ただし、転職のたびに年収が上がっている場合などは、ポジティブに評価されるケースもあります。
年収と返済負担率の関係
銀行は年収に対して「どこまでなら返済できるか」という返済負担率の基準を持っています。
この枠を超える借入は、原則としてできません。
そのため、年収は借入可能額に直結する非常に重要な要素です。
退職金と完済年齢
完済年齢が定年後になる場合、退職金の見込み額が審査対象になります。
特に50代・60代で住宅を購入する場合は、「退職金で完済できるか」が重要な判断材料になります。
他の借入は想像以上に影響が大きい
若い世代ではあまり重視されませんが、完済年齢が定年後になる場合、退職金の見込み額が審査対象になります。
特に50代・60代で住宅を購入する場合は、重要な判断材料になります。
他の借入が住宅ローン審査に与える影響
車のローン、カードローン、キャッシング、リボ払いなどの借入は、住宅ローン審査に大きな影響を与えます。
たとえば、月3万円の車のローンは、住宅ローンに換算すると約1,000万円分の借入と同等に扱われます。
特にキャッシングは、
「お金が足りない状態で使ってしまう人」
という印象を与え、非常にマイナス評価になります。
借入履歴と信用情報はすべて見られている
銀行は、全国銀行協会、CIC、JICCといった信用情報機関を通じて、借入や返済の履歴を確認します。
返済遅延の履歴は約2年、いわゆるブラック情報は5〜7年残ると言われています。審査に影響しますので、不安がある方は、まずは全国銀行協会の情報開示を行い、そこにCIC、JICCデータがなければで他のところに情報開示を行うという順番がいいのではないかと思います。
生年月日とフルネームで検索されるため、全国の中で同姓同名の方もいらっしゃるかもしれません。同姓同名の別人の情報が含まれているケースもあるため、自分の信用状況を確認しておくと安心です。
売主が住宅ローン審査を理解すべき理由
不動産売却では、「誰が買うか」が非常に重要です。
価格が同じであっても、
・自己資金が多い
・借入が少ない
・事前審査が通っている
こうした買主の方が、結果的にスムーズに成約します。
売主としては、「高く買ってくれる人」だけでなく、「確実にローンが通る人」を見極める視点を持つことが重要です。
住宅ローン審査は総合評価で決まる
住宅ローン審査は、どれか一つの条件だけで決まるものではありません。
多少のマイナス要素があっても、他の要素で十分にカバーできていれば、融資が通るケースは多くあります。
銀行は常に、
「この人に、この金額を貸して、本当に最後まで返してもらえるか」
という視点で判断しているのです。
まとめ
住宅ローン審査では、「物件の価値」と「借りる人の信用力」の両方が厳しくチェックされます。銀行は販売価格ではなく評価額と借入額のバランスを重視し、人に対しては自己資金、勤務先、勤続年数、他の借入状況、信用情報などを総合的に判断しています。売主にとっても買主にとっても、銀行目線を理解することは取引を成功させる大きな武器になります。事前準備と正しい知識で、後悔のない不動産取引を進めていきましょう。
この記事を書いた人

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神奈川県生まれ
平成18年に不動産業界に入り、平成21年に宅建試験合格現在に至ります。
宜しくお願い致します。
近隣エリアにお住まいの不動産オーナー様。
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