施設に入っている親の不動産は売れるのか?

親は施設に実家は空き家に

「施設に入ってしまったら、もう不動産は売れないんじゃないか?」

そう思っている方は、意外と多いです。
結論から言うと、ちゃんと手順を踏めば売れます。ただし、知らないと途中で詰まるポイントがいくつかあります。

まず確認すべきは、本人の判断能力です。
施設に入っている、要介護3だからといって、判断能力がないと決まったわけではありません。
名前や生年月日、今日の日付、今いる場所??こうした質問にきちんと答えられる方も多くいらっしゃいます。

では、受け答えができれば診断書は不要かというと、そうとも限りません。
明らかに問題がないと判断できる場合は診断書なしで進めることもありますが、少しでも不安がある場合は取るようにしています。
理由は単純で、不動産の売買には数か月かかるからです。その間に「あの時、本人に判断能力はなかった」と後から言われてしまうと、契約そのものが揺らぎかねません。
診断書は、本人を守るためでもあり、取引全体を守るための記録でもあるのです。

本人の意思確認は3回ある

意外と知られていないのが、意思確認は一度きりではないという点です。

  1. 媒介契約(販売委託契約)を結ぶとき
  2. 売買契約を結ぶとき
  3. 名義変更を申請するとき

不動産の売買では、この3回それぞれで本人の意思確認が必要になります。媒介契約から名義変更まで3~4か月。長いと1年もかかることも珍しくなく、その都度「本人がちゃんと理解して同意しているか」を確認し、記録を残す必要があります。認知症は状態が変わることもありますから、1回確認して終わり、というわけにはいかないのです。

さくら

自分の名前だけ書ければOK♪ってAIが言ってましたが違うんですね。。。

AIはネットに転がっている情報を拾って、さも本当のことのように書いてしまうこともあるので注意が必要です。

診断書の取得の流れ

診断書の取得にも順序があります。
まず施設の担当者に「本人情報シート」を作成してもらいます。
本人が日常どんな様子か、どの程度理解できているか??毎日そばにいる施設スタッフだからこそ書ける内容です。

このシートを施設の主治医に渡し、診断書を作成してもらいます。
診断書には4つの区分があり、「契約の意味内容を自分で判断できる」という区分であれば、本人を依頼人として売買を進められます。
一方、判断能力が不十分と診断された場合は、補助・補佐・後見という制度を使うことになり、特に後見になると売買契約に家庭裁判所の許可まで必要になります。時間もお金もかかるからこそ、まず診断書で「本人がどの程度判断できるか」を確認することが、最初の大事な一歩になるのです。

施設への依頼、本人情報シートの作成、主治医への診断書依頼、区分の判断、そこからの手続きの選択。
これをご家族だけで進めようとすると、どこかで詰まってしまうことが多々あります。
しかも、こうした複雑なケースに慣れていない不動産会社では、途中で「うちではちょっと…」となってしまうことも少なくありません。

「施設に入っている親の不動産をどうにかしたい」

そう思われた時点で、まずは状況だけでもお話しください。

この記事を書いた人

代表取締役士杉山善昭
代表取締役士杉山善昭
宅地建物取引士、建築士、公認不動産コンサルティングマスターなどの有資格者。
「相続した実家、売る?貸す?使う?」
「杉山善昭の不動産ワクチンがいまなぜ必要か?」著者
(公社)神奈川県宅地建物取引業協会理事兼中央無料相談所相談員。
1990年から不動産業界に従事、2005年(有)ライフステージ代表取締役就任。