親の気持ち、子に伝わっていますか?“想い”を残すプチ遺言という方法

遺言って、財産の話だけですか?
「遺言」と聞くと、多くの人が思い浮かべるのは――
- 誰にいくら相続させるか
- 不動産を誰がもらうか
- 相続税対策のこと
といったことが浮かぶと思います。
確かに、それも大事です。
でも、本当に大切なことって、もっと別のところにあるのではないでしょうか。
たとえば、こんな“気持ち”です。
♥「お父さんが亡くなった後も、家族仲良くしてほしい」
♥「あの家には思い出があるから、できれば残してほしい」
♥「長男には感謝している。お前がいたから、安心できたよ」
それって、財産の分け方よりもずっと大事な“親の気持ち”なのではないでしょうか。
実際、相続で一番揉めるのは「気持ちのすれ違い」
相続トラブルの多くは、お金や不動産の“量”ではなく、“感情”で起こるといわれています。
▽「私はずっと介護してきたのに、均等なんておかしい」
▽「長男だけ優遇されたのが納得できない」
▽「親が本当にそう望んでいたのか分からない」
こうした感情のすれ違いが、兄弟姉妹を絶縁にまで追い込むこともあります。
でも、もしそこに親の言葉が一言でも残されていたらどうでしょう?
♥「妹には今までたくさん助けられた。だから多めにあげたい」
♥「家は長男に。お前がいてくれて助かった」
♥「平等には分けてほしい。誰かが責められることのないように」
その一言が、子どもたちの葛藤を静かにほどいてくれるかもしれません。
“想い”を伝えるには、プチ遺言という選択肢
形式ばった遺言書では、
こうした感情面の“ひとこと”を入れづらいものです。
逆に、プチ遺言なら――
- ノートにメモする
- スマホに録音する
- 手紙のように書く
といった方法で、自由に、素直に、想いを表現できます。
もちろん、法的な効力はないかもしれません。
でも、残された人にとって大事なのは、「お父さん/お母さんが、何を思っていたか」なのです。
“言葉が残っていた”ことに救われる子どもたち
実際に、親が亡くなったあとにメモや手紙が出てきて、
「そういうつもりだったんだ…」と家族のわだかまりが解けたケースは少なくありません。
たとえばこんな話があります。
3人きょうだいの長男が、両親の介護を10年近く担ってきました。
遺産分割の話になったとき、妹と弟が「平等に分けよう」と言ったことで空気が険悪に。
長男は不満を隠せず、話し合いがストップしかけたそのとき――
仏壇の引き出しから、1枚の紙が出てきました。
「長男には世話になった。感謝している。自宅は彼に任せてほしい」
2021年 母より
その一言で、他のきょうだいも納得。
感情的な対立は解け、相続は無事にまとまりました。
「書いてあってよかった」
「親の気持ちが分かったから、譲る気になれた」
それが本音だったのです。
プチ遺言=“家族への最後のコミュニケーション”
あなたの気持ち、子どもたちはちゃんと分かっていると思いますか?
「わざわざ言わなくても分かるだろう」
「あの子なら察してくれるはず」
そう思っていても、いざというときに伝わっていなかったということは本当に多いです。
だからこそ、「ちゃんと言葉にして残しておく」ことが大切です。
プチ遺言なら、かしこまらずに書けます。
何なら「ありがとう」「すまなかった」といった感謝や謝罪だって、書けます。
それは、財産以上に大きなものを残すことになるのです。
まとめ:お金だけじゃない。“気持ち”も相続される
相続とは、財産を受け継ぐことだけではありません。
親の人生、親の想い、親の背中――
そうしたものを「どう受け継ぐか」も、大事な相続の一部です。
プチ遺言は、法律でがんじがらめになった“書類”ではなく、
もっと温かく、もっとやさしい、“気持ちの相続ツール”です。
今日、あなたの中にある想いを、そっとメモにして残してみてください。
きっとそれが、未来の家族を救うことになります。