不動産購入の売買契約で何をする?必要書類・手付金・当日の流れを宅建士がわかりやすく解説
不動産購入の売買契約とは?当日に何をするのか事前に知っておこう
住宅購入の申し込みが終わり、価格や引渡し日などの条件がまとまると、いよいよ「売買契約」を締結します。しかし、初めて住宅を購入する方にとっては、「契約当日は何をするの?」「どんな書類に署名するの?」「いくら持っていけばいいの?」と疑問や不安を感じる方も少なくありません。
この記事では、不動産売買契約で実際に行われる手続きや必要書類、支払うお金、契約にかかる時間までをわかりやすく解説します。契約当日に慌てないためにも、ぜひ事前に全体の流れを確認しておきましょう。
売買契約で行う3つのこと
売買契約当日に行う内容は、大きく分けると次の3つです。
・契約書類の作成・説明・署名
・手付金や仲介手数料などの支払い
・契約内容の最終確認
それぞれ詳しく見ていきましょう。
売買契約で作成・確認する5つの書類
売買契約では、主に次の5種類の書類を作成・確認します。
媒介契約書
仲介会社が間に入る場合は、媒介契約を締結します。
これは「不動産会社に仲介を依頼し、売買を成立させてもらう」という内容を確認する契約です。不動産会社が仲人役として取引を進めることを正式に取り決める書類になります。
重要事項説明書
重要事項説明書は、宅地建物取引士(宅建士)が法律に基づいて説明しなければならない書類です。
物件には、
・建築に関する法的規制
・用途地域
・再建築に関する制限
・インフラの状況
・その他、購入前に知っておくべき事項
など、目に見えない重要な情報が数多くあります。
「知らずに購入してしまった」というトラブルを防ぐため、法律で説明義務が定められています。
売買契約書
売買契約書には、売買に関する約束事が記載されています。
例えば、
・売買代金
・手付金の金額
・引渡し日
・残代金の支払い日
・リフォームをして引き渡すのか
・現状のまま引き渡すのか
など、取引条件やスケジュールが細かく定められています。
契約書は今後の取引のルールとなるため、不明点は必ず確認しましょう。
付帯設備表
付帯設備表には、住宅設備の状況が記載されています。
例えば、
・エアコン
・給湯器
・コンロ
・換気扇
・照明器具
などについて、
・使用できる
・故障している
・不具合がある
といった状態を確認します。
後から「壊れていた」「聞いていなかった」というトラブルを防ぐための重要な書類です。
物件状況報告書(告知書)
物件状況報告書は、売主が把握している物件の状態を告知する書類です。
例えば、
・雨漏りの有無
・シロアリ被害
・建物の傾き
・過去の修繕履歴
・設計図書の有無
などが記載されます。
売主が知っている範囲で告知することが基本となるため、購入後のトラブル防止にも大きな役割を果たします。
宅建士が説明する書類とは?
これら5つの書類の中で、宅建士による説明が法律で義務付けられているのは「重要事項説明書」です。
その他の契約書類については、宅建士以外の担当者でも説明することが可能です。
そのため、契約当日は宅建士から重要事項説明を受けたあと、その他の契約内容について説明を受けながら署名・押印を進めていく流れになります。
売買契約時に支払うお金
契約当日に支払う代表的なお金は2つあります。
手付金
最も大きな支払いが「手付金」です。
一般的には売買価格の5~10%程度を支払います。
実務上は10%程度がもっとも一般的で、多くの売主が安心して契約できる金額とされています。
手付金は「契約を簡単にやめられないため」のお金
手付金は単なる頭金ではありません。
法律上は「解約手付」と呼ばれ、一定の条件で契約を解除できる制度です。
・買主が解除する場合:手付金を放棄する
・売主が解除する場合:受け取った手付金を返還し、さらに同額を支払う(いわゆる手付倍返し)
つまり、双方とも手付金相当額を負担することで契約解除が可能になります。
手付金が少なすぎると契約は不安定になる
「手付金は少ない方が得」と考える方もいますが、実際にはそうとは言えません。
例えば手付金が30万円だった場合、引渡し直前になって売主が契約解除を申し出ても、売主は60万円を支払えば解除できてしまいます。
しかし買主はその時点で、
・住宅ローン契約
・引越し業者の予約
・家具の購入
・賃貸住宅の解約
など、多くの準備を済ませていることがほとんどです。
その状況で60万円を受け取っても、納得できるとは限りません。
逆に売主側も、手付金が少なければ買主が簡単に契約を放棄できてしまいます。
つまり、手付金には契約を確実に履行するための「重し」としての役割があります。
そのため、多くの売主は5%以下の低額な手付金では契約を承諾しないケースもあります。一般的には売買価格の1割程度を準備しておくと安心です。
仲介手数料
もう一つ必要になるのが仲介手数料です。
法律上、不動産会社は売買契約が成立した時点で報酬請求権を取得するため、本来であれば契約成立時に仲介手数料の全額を支払うことになります。
しかし実際には、買主の懐事情や住宅ローンが実行されるタイミングを考慮し、契約時に半額、引渡し時に残り半額という形で分割払いに対応している不動産会社も少なくありません。
ただし、この分割払いは買主の権利として法律で認められているものではありません。あくまでも不動産会社が買主の資金事情に配慮して対応しているものであるため、支払い方法は事前に確認しておくことが大切です。
売買契約にはどれくらい時間がかかる?
売買契約は短時間で終わるイメージを持つ方もいますが、実際にはかなりの時間が必要です。
重要事項説明書だけでも、すべてを丁寧に読み上げれば約1時間半程度かかることがあります。
さらに、
・売買契約書
・付帯設備表
・物件状況報告書
・その他確認書類
まで含めると、3時間以上かかるケースも珍しくありません。
実際には担当者が条文の意味をわかりやすく説明しながら進めるため、2時間前後で終わることもありますが、契約当日は時間に余裕を持って予定を組むことをおすすめします。
売買契約前に不明点は必ず確認しておこう
売買契約は、一度締結すると簡単に取り消したり内容を変更したりできるものではありません。そのため、契約当日は説明を聞くだけでなく、少しでも疑問に思ったことはその場で確認することが大切です。
例えば、「引渡し日までに修理してもらえる設備はあるのか」「残代金の支払いはいつなのか」「住宅ローン特約の内容はどうなっているのか」など、契約内容に関わることは遠慮せず質問しましょう。
契約書や重要事項説明書は専門用語が多く、一度聞いただけでは理解しにくい部分もあります。しかし、宅建士や仲介担当者は内容をわかりやすく説明する役割がありますので、納得できるまで確認してから署名・押印することが、後々のトラブル防止につながります。契約は住宅購入における大切な節目ですので、焦らず内容を十分理解したうえで進めるようにしましょう。
売買契約はどこで行う?
売買契約は、不動産会社の事務所で行われるのが一般的です。
ただし、法律で場所が決められているわけではありません。
例えば、
・売主・買主が遠方に住んでいる
・入院中で外出できない
・自宅で契約したい
・忙しく来店できない
といった事情があれば、自宅や病院などで契約を行うケースもあります。
状況に応じて柔軟に対応できるため、事情がある場合は仲介会社へ相談するとよいでしょう。
まとめ
不動産売買契約では、多くの書類に目を通し、契約内容を十分理解したうえで署名・押印を行います。重要事項説明書は宅建士による説明が義務付けられており、契約内容を理解するための大切な時間です。また、契約時には手付金や仲介手数料の支払いも発生します。特に手付金は契約の安全性を高める重要な役割を持つため、「少ない方が得」というものではありません。当日は2~3時間程度かかることも珍しくないため、時間に余裕を持って臨み、不明点はその場で遠慮なく確認することが、安心して住宅購入を進めるポイントです。
この記事を書いた人

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宅地建物取引士、建築士、公認不動産コンサルティングマスターなどの有資格者。
「相続した実家、売る?貸す?使う?」
「杉山善昭の不動産ワクチンがいまなぜ必要か?」著者
(公社)神奈川県宅地建物取引業協会理事兼中央無料相談所相談員。
1990年から不動産業界に従事、2005年(有)ライフステージ代表取締役就任。
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