ゴミ屋敷化した遠方の実家はどう売る?相続不動産を負担なく売却する方法を宅建士が解説
親が亡くなり相続した実家が遠方にあり、しかも家の中には大量の荷物が残されたまま。気付けば空き家となり、ゴミ屋敷のような状態になってしまっているケースは少なくありません。しかし、遠方に住んでいると頻繁に通うことも難しく、どう処分すればよいのか悩んでしまうものです。本記事では、ゴミ屋敷化した遠方の実家を売却する際の課題や注意点、現地に何度も足を運ばずに売却する方法について詳しく解説します。
ゴミ屋敷化した遠方の実家でよくある悩み
相続した実家が遠方にある場合、多くの方が共通した悩みを抱えています。
荷物が大量に残っている
親が長年住んでいた家には、多くの家財道具や思い出の品が残されています。
・アルバムや写真
・貴重品
・家具や家電
・衣類
・日用品
「必要なものだけ持ち出したいが、ほとんどは処分したい」というケースが非常に多く見られます。
しかし、遠方に住んでいる場合は荷物の整理だけでも大変な作業です。仕事や家庭の事情で何度も現地へ行くことが難しく、片付けが進まないまま時間だけが過ぎてしまうこともあります。
現地へ行く時間がない
現代人は非常に忙しく、空き家のためだけに何度も遠方へ通うことは簡単ではありません。
例えば、
・仕事が忙しい
・子育て中
・親の介護がある
・自身の健康問題がある
など、それぞれ事情があります。
相続手続きや売却手続きだけでも時間がかかるため、「実家のために何日も休みを取れない」という相談は非常に多いです。
相続人が複数いて話がまとまらない
相続人が兄弟姉妹など複数いる場合、意見調整も大きな負担になります。
例えば8人兄弟の場合、売却価格が1,000万円だったとしても単純計算で1人あたり125万円程度です。
しかし、
・代表者が手続きを進める
・不動産会社とのやり取りをする
・他の相続人へ説明する
といった負担は一部の人に集中します。
そのため、
「面倒だから放置しよう」
となってしまうケースも少なくありません。
空き家を放置すると起こるリスク
遠方にある実家をそのまま放置してしまうと、さまざまな問題が発生します。
雑草や庭木が伸び放題になる
空き家になると庭木や雑草は驚くほど成長します。
人が住んでいなくても自然は止まりません。
数か月放置するだけで、
・草が腰の高さまで伸びる
・隣地にはみ出す
・道路に枝が飛び出す
といった状態になることがあります。
結果として近隣住民とのトラブルに発展するケースもあります。
害虫や害獣が発生する
管理されていない空き家には害虫が発生しやすくなります。
代表的なものは、
・蚊
・ハチ
・ゴキブリ
・ムカデ
などです。
さらに状況によってはネズミやハクビシンなどの害獣が住み着くこともあります。
近隣住民に迷惑をかけるだけでなく、売却時の印象も悪くなってしまいます。
不法投棄の対象になる
管理されていない空き家は不法投棄されやすい傾向があります。
実際によく見られるのは、
・飲料缶
・家庭ゴミ
・粗大ゴミ
などです。
一度ゴミが捨てられると、さらにゴミが集まりやすくなるため注意が必要です。
不法侵入や不法利用の危険
空き家は不法侵入のリスクもあります。
中には、
・勝手に敷地を利用される
・郵便受けを悪用される
・犯罪の拠点として利用される
といった深刻な事例も存在します。
所有者が知らない間にトラブルへ巻き込まれる可能性もあります。
災害時の損害賠償リスク
空き家の管理責任は所有者にあります。
例えば、
・台風で屋根材が飛ぶ
・雨どいが落下する
・外壁が崩れる
などが発生し、第三者へ被害を与えた場合には損害賠償責任を負う可能性があります。
近年は大型台風や地震も増えているため、空き家を放置するリスクは年々高まっています。
特定空家に指定されるリスク
近年、空き家問題への対策が強化されています。
固定資産税が大幅に上がる可能性
管理不全の空き家は「特定空家」や「管理不全空家」に指定される可能性があります。
指定されると住宅用地の特例が解除される場合があります。
通常、住宅が建っている土地は固定資産税が軽減されていますが、その優遇措置がなくなると税負担が大幅に増加することがあります。
放置期間が長くなるほどリスクは高まるため、早めの対応が重要です。
家財撤去には想像以上の費用がかかる
ゴミ屋敷状態の実家を片付けようとすると、多くの方が費用に驚きます。
動産撤去費用の目安
一般的な戸建ての場合でも、
・40万円~50万円程度
・状態によっては100万円以上
かかることがあります。
なぜ高額になるのでしょうか。
産業廃棄物として処理される
大量の家財を業者が処分する場合、一般家庭ゴミとは異なる方法で処理されます。
分別作業や搬出作業も必要になるため、人件費や処分費用がかさみます。
そのため、「まず片付けよう」と考えて見積もりを取った結果、予想以上の金額になり断念するケースも少なくありません。
売却前にお金をかけたくない人は多い
不動産を売却する前には、さまざまな費用が発生する場合があります。
売却前に必要となる可能性がある費用
・相続登記
・測量費用
・残置物撤去費用
・解体費用
・草刈り費用
問題は、これらの費用をかけても必ず高く売れる保証がないことです。
そのため、
「売れるかどうかわからない不動産に先にお金をかけたくない」
という考えは非常に自然なものです。
相続登記は必ず行う必要がある
2024年から相続登記が義務化されました。
相続登記を放置してはいけない
以前は相続登記をしないまま放置されるケースもありましたが、現在は義務となっています。
そのため、
・売却する場合
・売却しない場合
に関わらず、相続登記は進める必要があります。
ただし、費用面に不安がある場合は専門家へ相談することで対応策が見つかることもあります。
ゴミ屋敷状態でも売却できるのか?
結論から言うと、売却は可能です。
理想は片付けてから売ること
一般的には家財を撤去し、室内を整理した状態の方が高く売れる傾向があります。
購入希望者も内覧しやすくなり、建物の状態も確認しやすくなるからです。
そのままの状態で売却する方法もある
しかし、
・費用がない
・時間がない
・遠方で管理できない
という事情もあります。
そのような場合には、残置物がある状態のまま購入してくれる買主を探す方法があります。
もちろん売却価格は下がる可能性がありますが、
・片付け費用が不要
・現地へ何度も行かなくて済む
・早期売却が期待できる
といったメリットがあります。
相続人が複数いても売却は可能
複数人で相続した不動産でも売却は可能です。
情報共有が重要
相続人が多い場合、
・説明不足
・認識の違い
・手続きの遅れ
が発生しやすくなります。
そのため、不動産会社や専門家が各相続人へ丁寧に説明しながら進めることが重要です。
代表者だけが理解している状態では、後々トラブルになることもあります。
相続人全員が納得したうえで進めることが円滑な売却につながります。
遠方の実家でも現地に行かず売却できるケースが増えている
近年はオンライン化が進み、遠方の不動産売却も以前より簡単になっています。
来店不要で手続き可能
現在では、
・電話相談
・オンライン面談
・郵送手続き
・電子契約
などを活用することで、多くの手続きを遠隔で進められます。
地域の協力業者と連携している不動産会社であれば、全国の物件に対応できるケースもあります。
遠方だからといって諦める必要はありません。
まずは相談して現状を確認してもらうことが大切です。
ゴミ屋敷化した実家を売却する際のポイント
まずは現状を把握する
・相続登記の状況
・荷物の量
・建物の状態
・土地の状況
を確認しましょう。
複数の選択肢を比較する
売却方法には、
・片付けて仲介売却
・現状のまま売却
・買取
・解体後に売却
などさまざまな方法があります。
一つの方法にこだわらず比較検討することが重要です。
放置しないことが最大の対策
空き家問題は時間が経つほど悪化します。
管理費用や固定資産税も発生し続けるため、早めの行動が結果的に負担軽減につながります。
まとめ
遠方にある実家がゴミ屋敷化してしまうと、荷物の整理や管理、相続人同士の調整など多くの課題が発生します。さらに放置を続けると、雑草の繁茂や害虫発生、不法侵入、近隣トラブル、固定資産税の増加などさまざまなリスクを抱えることになります。
理想は片付けてから売却することですが、費用や時間の問題で難しいケースも少なくありません。そのような場合でも、残置物がある状態のまま売却する方法や、遠隔で手続きを進める方法があります。大切なのは「どうしよう」と悩み続けて放置することではなく、早めに専門家へ相談し、自分に合った売却方法を見つけることです。遠方の実家であっても、適切なサポートを受ければ負担を最小限に抑えながら売却を進めることは十分可能です。
この記事を書いた人






