売買契約書にハンコを押す前ならドタキャンできるか?

概要
建物を建設する目的で、土地を購入しようとしたA氏。
購入しようとした土地の所有者は3人の共有で(以下B氏らとする)媒介業者を通じてB氏らとの間で売買契約の基本的事項を合意した。
また、所有権移転登記及び代金支払いを一括で行うこと、並びに当該決済日についても合意した。

ところが、決済日の前日になり、売買対象の土地の登記済み権利書を紛失していることが判明した。
そこで、A氏とB氏らは保証書による所有権移転登記申請と担保権設定による代金の先払いを合意した。

しかし、B氏らのうち一人が取引に難色を示し、結局契約締結の当日一方的に白紙撤回を行った。

要約すると、売主買主間で売買をしようという基本的取り決めができ、日時も決めたのに、売主が一方的に撤回した。売買契約書にはハンコは押印していない状態。という事になります。

さて、この場合、キャンセルが許されるのでしょうか?

福岡高等裁判所の判断は以下です。

A氏の請求を認めた。
理由は次の通り
1.A氏とB氏らの間には、交渉の事実経過からすれば、交渉の結果に沿った契約の成立を期待し、その為の準備をすることは当然。

2.契約締結の準備が整っているので、契約当事者は相手方の期待を侵害しないよう誠実に契約の成立に努めるべき信義則上の注意義務がある。

3.B氏らは正当な理由なく、契約締結を拒否したもので、A氏の有する「契約締結に向けての利益を侵害した」点で違法であり、B氏らはその不法行為によって被ったA氏の損害を賠償する責任がある。

以上です。

つまり、ハンコを押していないとしても、契約は成立しているのと同じだと裁判所は言っているのです。

カテゴリー: 不動産コンサル杉山善昭のブログ タグ: , , , , , パーマリンク

コメントは停止中です。